低めの球に、素直にバットが出た。1点を追う5回先頭。ロッテ平沢大河内野手(19)はカウント1ストライクで、ヤクルト山中の119キロを振り抜いた。放物線で右翼席前列へ。オープン戦1号ソロ。「振ったら良いところに飛んでくれた。継続して、やっていけたら」と淡々と話した。

 2年目の今季、レギュラーのチャンスが目の前にある。正遊撃手だった鈴木が二塁転向。後釜を巡り、今春キャンプでチーム内競争が始まった。中村、三木との三つどもえだったが、3月前半の遠征が終わり、三木が2軍に。中村との一騎打ちとなっている。「自分がしっかりやらないと競争にならない。奨吾さん(中村)に食らいついていきたい」と口元を引き締めた。

 試合前まで打率1割台に低迷。現状は中村が1、2歩、リードしている。だから、遊撃フル出場で放った1発には意味があった。伊東監督からは、打ちにいく時に体が前に突っ込む点を指摘されている。「練習から意識して」課題に取り組む毎日。その中で結果を出し、指揮官からも「今日の1発で良い方に行ってくれれば。(遊撃は)確定していない。チャンスは十分」と期待の言葉をもらった。

 宮城・多賀城出身。東日本大震災から6年の11日は、DeNA戦でフル出場も5打席凡退に2失策だった。その日の試合前「地元の人たちに1軍で頑張っている姿を見せたい」と言っていた。精彩を欠いた日から4日後。「切り替えも大事」と汚名返上した。開幕まで約2週間。チャンスをものにする。【古川真弥】