日本ハム大谷翔平投手(22)が、31日の開幕戦(西武戦・札幌ドーム)への準備完了を告げる特大弾を放った。広島戦に「3番・DH」で先発出場。3回、オープン戦2号2ランをマークした。右足首痛から1軍に復帰後、最多の1試合4打席に立ち、野手としては順調に復活。尊敬する黒田博樹氏(42)の引退記念特別試合で、豪快な1発で花を添えた。

 フルスイングに、もはや不安はなくなった。3回2死二塁。大谷はシンプルに、昨季15勝の沢村賞左腕ジョンソンと向き合った。4球目。「だいたいカットボールかツーシーム。同じタイミング(が多いイメージ)なので」。狙い通りの直球系138キロを左翼席へ運んだ。スタンド最上段に突き刺すオープン戦2号2ラン。右足首痛から野手で1軍復帰した14日DeNA戦以来の1発。「積極的に振りにいった結果」と、自身も手応えを感じていた。

 レジェンドの節目に花を添えた。この日は昨季限りで現役を引退した黒田氏の特別試合だった。始球式に登板した姿を、大谷はバットを手に三塁側ベンチ端で見つめていた。「偉大な選手。小さい頃から見ていた」。昨季の日本シリーズ第3戦に初対決。左飛に打ち取られた野手大谷が、黒田氏の現役最後の打者になった。「すごい選手ですし、ああいう選手になりたいと誰しも思う」。アーチで、特別試合を彩った。

 開幕まで2週間を切った。野手での出場へ着実に前進している。1軍に復帰し4試合目。フル出場で4打席に立ったのは初めて。これまで3打席にとどまっていたが、制限は解除された。体の張りが出てきている状況で、栗山監督は「一番怖いのは足が痛くて、また試合に出られないこと」と慎重を期す意向だが、その中で結果も出している。投手調整は、野手で安定して出場を重ねてから、再スタートしていく見通しだ。

 大谷自身も「一番は状態が上がってくることですけど、ある程度見切りもつけていかないと」と、投手へのこだわりを一時封印し、野手としてチームに貢献することを優先する構え。まずは野手で万全をアピールし、投打「二刀流」復活の道にする。【田中彩友美】