西武が「辻カラー」が鮮明に出る形で、貴重な先制、追加点を挙げた。2回表1死二、三塁の場面で、木村文の遊ゴロに三塁走者中村が好スタート。スピードの落ちないスライディングで捕手のタッチをかいくぐり、見事に生還した。

 「いいスタートだったし、うまいこと滑り込んでくれた」と初陣の辻監督。就任以来「中村も栗山もベテランじゃない。走って仕上げてほしい」と求めてきた。それもあって昨季から4キロ減と引き締まった身体でシーズンに入った主砲は、イメージを覆す俊足ぶりで、辻体制初のホームを踏んだ。

 さらにこの直後。無死一、三塁となって打席に立った炭谷は、2球で2ストライクと追い込まれたが、3球目の内角球をたくみに投手右に軽打。投ゴロ間の三塁走者生還につなげた。

 辻監督は「あれはランエンドヒット。木村文がいいスタートを切ってくれた。実は事前にあいつと、ツーナッシングは盲点だという話をしていた」と明かした。

 打った炭谷も「打席の中でいくつか想定していたパターンの中で、木村文がスタートを切ったら軽打というのがあった。走ってくれていれば併殺はない。その間に三塁走者が生還できるという計算です」と説明した。

 炭谷の野球IQの高さもさることながら、俊足木村文の開幕先発抜てきが生きた“辻マジック”による加点劇だった。

 この回、安打は栗山の二塁打1本。それでも好走塁、好判断で2点を生んだ。辻監督は「1点をしぶとく奪う野球を」と説いてきた。新指揮官の哲学が、開幕戦で早くもチームを勝利に導いた。