こちらのアベも最高で~す!! 広島安部友裕内野手(27)が、劇的サヨナラを決めた。阪神2回戦の延長10回1死二、三塁。二塁内野安打で5時間24分の死闘を制した。菊池、丸、田中と同学年の男が、初の開幕戦にスタメン出場に続き、自身初のサヨナラ打を決めた。お立ち台では巨人阿部と同じセリフで、本拠地のファンを喜ばせた。

 決着をつけたのはコイの熱男、安部だ。「覇気で打ちました」が口癖のミスター・ハイテンション。延長10回1死二、三塁に前のめりだ。2球連続でボール球のフォークを振ったが「当てれば何か起こる」と超前向き。スプリットにバットを合わせ、今季初の歓喜を呼び込んだ。

 自身初のサヨナラ劇は「初めてで勝手が分からなくて」とてんやわんや。ベンチを飛び出し追いかけてくるナインを三塁付近まで振り切った。「二塁らへんでやるもんですよね。そこはご愛嬌(あいきょう)で」。びしょぬれのお立ち台では巨人阿部、チームメートの鈴木ばりの「最高でーす!」を披露。途中出場で3四球、1安打。何点離されても食らいついたチームを代表した。

 モットーは「人生1回、1度きり」。目の前に全力で、迷えば進む。1軍に出始めた時期は凡ミスが多く、下を向いてミスを呼ぶ悪循環。だから「逆に」変わった。身につけるものも「反対の色が一番目立つ。ユニホームが赤だから青」と青一色になった。今ではパンツでさえも青が多い。「安部=青で覚えてもらいたいです」と笑った。

 15年、安部が1軍と2軍を行ったり来たりしているとき、2軍コーチ兼任だった東出コーチが「覇気がないぞ」とハッパをかけた。昨季は1軍コーチとして、選手に「覇気を出せ」と言い続けるうちに「覇気」が浸透した。安部はお立ち台でも「覇気」を連発。覇気で奪った決勝点だった。

 菊池、丸、田中らと同学年の27歳。自身初の開幕スタメンを飾った前日は失策も犯した。まだレギュラーをつかむ途中だけに「とにかく明日が大事。(喜びを)引きずっても仕方ない」。1度きりの野球人生は、始まったばかりだ。【池本泰尚】