みんな心配、藤浪よ立ち直ってくれ! 阪神金本知憲監督(49)が10日、悩める右腕にゲキを飛ばした。今季初登板となった4日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)では9四死球と大荒れで、大乱闘も引き起こした。指揮官は「原点に返って、思い切り投げこめばいい」と助言を送り、二人三脚で修正に取り組む香田勲男投手コーチ(51)は「怖がっていたら投球にならない」と変わらぬ内角攻めを指示。虎党の誰もが藤浪の復調を待ち望んでいる。

 開幕から3カードを4勝4敗で終えた。打線は調子を上げ、投手陣も落ち着きつつある。貯金量産を狙うには、この男の復調は必須条件になる。藤浪だ。今季初登板は5回まで毎回の9四死球。ヤクルト畠山への死球が大乱闘を誘発した。制球難という課題を克服するために、オフから試行錯誤しているが、指揮官には目指すベクトルが違っているように見えた。

 「小さくなろうとしている。小手先で、いろんな変化球をいろんなコースに、神経質にね。原点に返って、いいまっすぐを投げる。腕を振って、スライダーをパーンと切る。そっちの方がバッターも嫌だと思うけどな」

 荒れた投球も藤浪の持ち味の1つだ。それを失っては魅力も半減する。さらに考えすぎて、コントロールがさらに悪くなれば、元も子もない。金本監督は藤浪を打者に置き換えて、こんなゲキを飛ばした。

 「レフトにも打てて、ライトにも引っ張ってよし、センター返しもできて、低めも打てて、高めも強い。それを目指すのは分かるけど、まだ早い。バッターで表現すれば、そういう感じになるんじゃない? きれいに打とうとし過ぎて、お前の持ち味はフルスイングだろ、みたいな」

 小技を磨く選手ではない。まだ22歳。エースとして大きく育ってほしい気持ちがある。だから長距離砲と同じような姿勢を求めた。

 大乱闘の後だけに、内角を突くことに慎重になる可能性がある。二人三脚で修正を図る香田投手コーチは恐れない投球を指示した。「それ(死球)を怖がっていたら、投球にならない。当てようと思っているわけじゃない。体の近くに投げていかないといけないこともある」。復活を後押しするデータもある。DeNAには、通算13試合で9勝2敗と抜群の相性を誇る。敵地横浜がきっかけの舞台になるか。藤浪よ、立ち直ってくれ。誰もがそう願っている。【田口真一郎】

 ▼藤浪は14年4月8日に敗戦投手になって以来、DeNA戦は勝敗のつかない2試合はさんで現在6連勝中。プロ通算でも9勝2敗とお得意さんにしている。敵地・横浜では、13年に4回5失点で負け投手になっているが、それ以外の5度の登板はすべてクオリティー・スタート(6回以上投げ自責点3以内に抑えること)で、特にこの2年は防御率1・55と安定した成績を残している。

 ◆4日の阪神-ヤクルト戦大乱闘VTR 先発藤浪は制球が定まらず1回には山田、バレンティンが内角球にのけぞるシーンがあった。5回には畠山の左肩に死球。にらみながらマウンド方向に歩き出したのを見て、両軍ベンチから選手らが飛び出した。人の輪に最後方からバレンティンが突っ込むと、阪神矢野コーチが転倒。立ち上がって飛び膝蹴りで反撃し大乱闘に発展した。バレンティンと矢野コーチはともに暴力行為で退場処分を受け、それぞれ罰金と厳重注意を受けた。