中日又吉が通算198試合目、通算23勝目で先発初勝利をつかんだ。2-0の6回2死三塁。ヤクルト3番山田を迎えた。カウント3-0からの4球目、外角低めへの140キロ直球で捕邪飛。得点を許さなかった。次の回は3者凡退に抑え、プロ3度目の先発で7回5安打無失点。リーグトップを走っていた防御率を、驚異の0・88まで向上させた。お立ち台で「中継ぎとは違う達成感を味わうことができた。それだけですね」と白い歯をこぼした。

 又吉が小学校時代に所属していた仲間ジャイアンツの練習場所となっていた浦添小学校で、現役選手だったヤクルト真中監督がキャンプの合間を縫って個人的に野球教室を開いていた。その中に又吉もいた。真中監督は「線が細くて、目立たなかったのにね」と懐かしそうに振り返っていた。前回のヤクルト戦(13日)は勝ち負けつかずも8回を6安打2失点。この日は白星。幼い日を知る敵将に成長した姿を見せつけた。

 チームは再び最下位を脱出した。森監督は「中継ぎのとき、苦しい経験があるから先発に生きている。完封する可能性はあったけどね。完投完封はその次に取っておきましょう」と目を細めた。日本人先発投手では初の勝ち星。また1人、チームを浮上させる戦力の誕生を感じさせた。【宮崎えり子】