試合後も、楽天ファンは球場に残っていた。岩手出身の銀次がグラウンドに現れると、最高潮の盛り上がりを見せた。4打数3安打1打点と猛打賞の活躍で、文句なしでお立ち台に上がった。銀次は「自分のバッティングを岩手の人たちに見てほしいと。久しぶりに気合が入った。最高の結果につながりました」と、故郷で笑みがはじけた。

 試合前から気合満点だった。この日は、昨年8月に起きた台風10号の被災地である岩手・岩泉の児童80人が球団から招待された。銀次は、同12月にキャプテン嶋と同地を慰問した。試合前にはその児童たちと交流し、「復興って言葉にすることは簡単。僕らは、少しでも笑顔を届けることが仕事」と気を引き締め、結果を残した。

 まさに「銀次デー」となった。5点差を追いついた直後の2回2死一、二塁、1イニング2度目の打席で右前へ決勝打をマークした。この回先頭では中前打で劣勢の雰囲気を打破するなど、打者一巡の猛攻につなげた。盛岡では13年以来、4年ぶりの勝利を故郷へ届けた。「被災された方、東北の方々を元気にすることが僕らの使命」と語る選手会長が、地元で躍動した。