諦めない虎に「奇跡の1点」が舞い込んだ。阪神金本知憲監督(49)は「勝ち運があったのかな」と振り返った。どよめいたのは7回だ。4-4に追いつき、打席に福留が立った。2死二、三塁。一塁が空いていた。ヤクルトの選択は敬遠。ところがだ。1球目、2球目…。ルーキの投球が、おぼつかない。2ボールからの3球目。ボールは、観客の悲鳴とともに立ち上がった捕手中村の上空を通過し、勝ち越し点が入った。

 大リーグでは今季から敬遠の申告制が導入されたばかり。ありえない得点だった。その流れを作ったのは神宮をよく知る1番、2番コンビだった。2点を追う3回、明大出身の高山と早大出身の上本が本塁打を放ち、追いついた。7回も、2人の適時打で同点としたことで、敬遠暴投の決勝点につなげた。

 高山は今季、神宮で20打数8安打、打率4割。放った3本塁打すべてが神宮球場と抜群の相性だ。ヒーローインタビューでは「次は甲子園でも打ちたい」と苦笑いした。神宮の申し子が、好運をもたらしたのか。連敗を3で止めた金本監督は「勝つと負けるとでは月曜日も大きな違いだからね」とニンマリ。明日23日からは本拠地に巨人を迎える。【桝井聡】

 ▼阪神はこの試合で今季40試合を消化。40試合目で25勝以上到達は、2リーグ分立後、08年(27勝12敗1分)以来7度目だ。過去6度のうち、52年を除くすべてで40試合時点で首位。最終的に、85、03年の2度優勝したほか、すべて2位以内に入っており、“Aクラス率”は10割だ。今季はどうなるか?