阪神藤川球児投手(36)が、30日のロッテ戦の9回、角中から見逃し三振を奪い、NPB通算1000奪三振に到達した。771回2/3での到達は、野茂英雄を超える日本最速。火の玉ストレートで一世を風靡(ふうび)した右腕が、プロ19年目で金字塔を打ち立てた。

 藤川は自信を持って投げきった。149キロの直球がロッテ角中の膝元を通過し、捕手梅野のミットに突き刺さる。見逃し三振。NPB通算1000奪三振は、磨き上げた「火の玉ストレート」で仕留めた。

 「ファンの方が三振に関心を持ってくれていた時期もあった。それをモチベーションにしていた」。試合後、言葉少なに語ったのはファンへの感謝だった。771回2/3での到達は、野茂英雄の871イニングを超え、日本最速。「自分では考えない。向こうは先発投手で、メジャーでも実績がある」。苦笑いしながら、謙虚に野茂超えを語った。

 この日は8点リードの9回に登板。1イニングをピシャリと抑えた。井口も見逃し三振に仕留め、1001奪三振とした。初奪三振は00年3月31日に当時横浜に在籍していた谷繁から。そこから数々のドラマを生み出してきた。救援トリオの愛称「JFK」は、社会現象にまでなった。ジェフ・ウィリアムス、藤川、久保田智之の3人で勝利の方程式を形成した。ここ最近は点差の開いたマウンドも任される。それでも何も言わずに、藤川は右腕を振り続ける。【真柴健】