思わず笑みが浮かんだ。阪神5位の指名に、九州三菱自動車の快速右腕、谷川昌希投手(25=東農大)が大きな夢を口にした。「まずは開幕1軍。即戦力として期待されていると思うので60試合登板を目指します」。1年目から虎の一員として活躍する姿を思い浮かべていた。

 武器は打者に向かっていく姿勢だ。「プロの世界では内角を攻めていかないといけないと思う。今年からシュートを覚えて投球の幅が広がりました」。今年から投手コーチに就任した元南海、ダイエー、近鉄で投手として活躍した加藤伸一氏(52)から「秘伝」のシュートを教えてもらった。「加藤さんの現役時代もシュートが武器だった。配球も教えてもらい成長させてもらいました」。元プロの強気な投球を伝授してもらい、今度は自分がプロの世界に飛び込む。最速は149キロだが「速さよりも力強さが大事だと思う。打者のバットを押し込んだり、折ったりのイメージです」。150キロの大台はもちろん、シュートに磨きをかけてプロの舞台へと飛び込む。

 昨年もドラフト候補ながら、同じく九州三菱自動車の有吉優樹投手(26)だけがロッテ5位指名プロへ。「悔しかった」。その悔しさが高い目標、60試合登板目標に向かわせた。「甲子園は夢のマウンドでもあったし、早く関西になじみたい。行ったことがないので本場のたこ焼きが食べたいです」。車の営業マンながらマウンドではグイグイ相手を攻めてきた谷川。甘いマスクからは想像できない力強い投球で、虎の中継ぎの一角を担う。【浦田由紀夫】

 ◆谷川昌希(たにがわ・まさき)1992年(平4)10月6日、福岡県八女市生まれ。北山小1年から軟式「北山カージナルス」で野球を始め、小5から投手。筑南中では硬式「八女スカイホーク」でプレー。筑陽学園を経て東農大へ。九州三菱自動車では1年目から都市対抗で登板。今年はトヨタ自動車相手に先発11回13Kながら12回に満塁弾を浴びて(自責2)負け投手。BFAアジア選手権ではジャパンにも選ばれ、韓国戦で先発8回11Kをマークした。両親と兄。175センチ、81キロ。右投げ右打ち。