阪神才木浩人投手が27日の巨人戦でプロ初勝利を挙げた。それを受け、兵庫・須磨翔風時代の中尾修監督(52)が、日刊スポーツに手記を寄せた。恩師は指導した3年間の出来事や学校生活など、才木の素顔を明かしてくれた。

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 初勝利おめでとう。卒業して2年目になりますが、須磨翔風には「才木イズム」が残っています。後輩には食事に対する意識やトレーニング意欲を残してくれました。プロに入るだけじゃなくて、足跡をきちんと残してくれた。「食事もトレーニング」の合言葉を打ち立てて、生きた教材になってくれました。

 1度にあまり量が食べられないから、何回も休み時間におにぎりを食べている姿を見て頑張っているな、と。1日8度くらいかな? よく食べていましたね。一気に食べられないからコツコツと。トレーニングもそうですね。体幹を2時間も続けられる根性は本当にすごかった。地味な練習なので、普通は飽きるんですけど、2時間ぐらいは1人で手を抜くことなく練習していました。

 学校でも人気者でした。3年連続でクラス代表をしていたし、最後の文化祭では飛び入りで漫才にも参加して、みんなを喜ばしていました。彼はいつも自分発信で、積極的に行動していました。今では後輩たちがまねしてますね、才木を憧れて。ここまで順調に進んでいるのはうれしい。いいステップアップをしていると思います。年末に帰ってきてくれたとき「焦らずに体作りやな」と伝えました。まだプロに慣れたような実感はなく、お金をもらっているというよりも好きな野球を続けられているという純粋なところは変わりませんね。

 入学してきた頃は真っすぐが120キロも出なかったし、スライダーの投げ方さえ知らなかった。でも肩関節は柔らかいし、肘もしなる。そして腕も振れる。投手としての技術的な要素も持っていた。今は成長して150キロも出るし、フォークにカーブもきちっと投げられる。熱心かつ負けず嫌い。その素質を阪神タイガースで開花させてください。次も期待しています。(須磨翔風高校野球部監督)