金足農の躍進で秋田旋風が神宮にも波及した。秋田商出身のヤクルト石川雅規投手(38)が7回途中まで8安打4失点と粘りの投球で2カ月ぶりの5勝目。最後は金足農OBの石山泰稚投手(29)が締めた。秋田県人リレーで2位を死守。借金を1に減らした。

 最後は薄氷だったが、東北人らしく粘り強く締めくくった。9回、石山は安打と連続四球で無死満塁の危機を迎えたが、ロサリオを三邪、鳥谷を併殺打に仕留めた。「しびれさせちゃって申し訳ない。(金足農の)吉田君みたいに三振が取れれば楽なんでしょうけど。危なかったけど、石川さんに勝ちがついて本当によかったです」。前夜から狙っていた秋田県人リレーを決め、胸をなで下ろした。

 先輩の石川も粘りの投球だった。8安打を許しながらも丁寧に低めを突いた。4回1死一、二塁のピンチは、梅野、代打中谷を得意のシンカーで抑えた。7回途中で交代したが「どんな形であれ、チームにも自分にも勝ちがついてよかった。何とか修正できた」。6月12日以来となる勝利の味をかみしめた。

 石川は秋田商3年時に甲子園に出場しているが、当時のコーチは現在金足農の監督を務める中泉一豊氏(45)だった。「甲子園を決めた時にメールしたら電話がかかってきました。確か小、中、大も一緒だったと思います」。地元の盛り上がりは、東京にいても感じている。「ここまで来たら東北悲願の大旗を持ち帰ってほしい。あと4校しかないですから。地元秋田の星なんで頑張ってほしい」。甲子園準決勝へ、白星のバトンをつないだ。【斎藤直樹】