巨人山口俊投手(31)が新守護神として待望の接戦勝利をもたらした。阪神戦で1点リードの7回に上原が追いつかれるも、セットアッパー畠が3者連続三振などで流れを遮断。8回に立岡の適時打で勝ち越し、最終回を先発から配置転換された山口俊が抑えてDeNA時代以来、5年ぶりにセーブを挙げた。故障や不振などで勝利の方程式が機能不全に陥っていたチームにとっても8月31日以来のセーブ。大混戦のCS争いで阪神に2・5ゲーム差をつけ、宿敵を後退させた。

山口俊はじっとりと汗をかいていた。あと3アウト。役割は明確に示されていた。1点リードの9回、先頭中谷の安打と犠打で2死二塁。打者糸原へカウント0-1から内角低めにフォークを落とした。完璧に詰まらせ一ゴロで切り抜けた。「セーブがついて良かった。こういう展開で何とか勝てたのは明日につながる」。13年6月1日楽天戦以来のセーブを挙げると大きく息を吐いた。

僅差の試合を先発今村から5投手でつないだバトンはとてつもなく重たかった。7月27日の中日戦で史上79人目のノーヒットノーランを達成したが「全然、抑えの方がしびれますね。みんながつないでくれた場面で投げる。絶対勝たないといけない場面で投げているので。1人で完投するよりもしびれます」。たかが1イニングではない。されど1イニングだと認識する。

新しい勝利の方程式がようやく決まった。8月23日DeNA戦後に先発から守護神へ回った。ノーヒットノーラン達成のシーズン中に先発から守護神の配置転換は異例中の異例だが「必要とされたところで投げるだけ。そこで抑えるのが仕事」と受け入れた。7回に上原が同点に追いつかれ、なお2死一、三塁のピンチでは昨季は先発ローテだった畠が登板。8回もまたぎ、無安打無失点で勝ち越しにつなげた。

1点差試合での勝利は大混戦が続くCS争いを勝ち抜くためには必要不可欠になる。カミネロ、マシソンと救援陣の柱が負傷で帰国。試合を決める勝ちパターンの不安が解消へと向かう価値ある1勝に高橋監督も「大きいよね」と手応えを口にした。ここまで10勝23敗と大きく負け越している1点差試合を「新・方程式」でもぎ取った。山口俊は「次にしっかりつながるようにしたい」と継続を約束。残り7試合。しびれる接戦を新守護神がセーブする。【島根純】

▼山口俊が今季初セーブ。山口俊のセーブはDeNA時代の13年6月1日楽天戦以来5年ぶりで、巨人移籍後は初。山口俊は今年の7月27日中日戦でノーヒットノーラン。無安打無得点を達成後、同じ年にセーブを記録したのは06年山本昌(中日)以来4人目。