25日のドラフト会議での指名候補選手を紹介する「ヒーロー候補生」を連載する。第1回は本格派右腕、日本通運・生田目(なばため)翼投手(23)。

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衝撃の全国デビューから3年、日本通運・生田目は覚悟を決め、指名を待つ。その名が全国に知られたのは千葉・流通経大3年で出場した15年6月の全日本大学選手権だった。初戦の城西国際大戦で最速151キロを計測するなど好投し、スカウトも色めきたつ中で「野球は結構やったので。(卒業後は)地元で公務員になりたいです」と発言し、周囲を驚かせた。

当時の発言の真意について、生田目は「当時はプロが想像できなくて。テレビで見るものだと思ってましたし、自分がなれるなんて思わなかった」と苦笑した。大学2年時には東京新大学リーグで創価大・田中(ソフトバンク)に投げ勝ったが「ただ創価に勝ててうれしいなと思った」とプロは視野に入らなかった。

夢が現実に近づいたのは全日本大学選手権での準優勝だった。「1回の人生。上のレベルで勝負したいと思った」。だが、3年秋に右肘痛、4年春に右肩痛を発症。4年秋に復帰し、プロ志望届を提出したが故障の出遅れも響き、指名漏れした。「悔しかったですが、2年後に勝負する」と誓い、日本通運に入社した。

一発勝負の世界で、心身共に成長した。今年からは元日本ハムの武田久投手兼任コーチ(40)が加入。「高さは気にしなくていいから、コースを狙え」と助言され、制球力が向上した。2年目の今季は先発で活躍し、最速は自己最速に1キロと迫る154キロを計測。全12球団から調査書が届き、ドラフト上位候補へと評価を上げた。

理想の投手には投球スタイル、体格も似ていると言われる楽天則本を挙げる。「プロは結果の世界。厳しいと思いますが、選んだ道に後悔はないです。後先考えず、一瞬一瞬、勝負したいです」とイメージを膨らませている。【久保賢吾】