日刊スポーツのオフ企画、毎週土曜日は「出た出たデータマン」です。記録室が今季の阪神をデータで読み解き、来季を展望します。

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聖地での歴史的な貧打が、最下位転落の重大な要因となった。阪神は甲子園で今季21勝39敗2分けで、借金は18を数えた。78年の借金17を超え、球団史上最悪である。

甲子園での本塁打は20本だが、被本塁打は48。収支はマイナス28本で、ラッキーゾーン撤去後の92年以降では最悪だ。その陰で、屈辱的な記録も生まれていた。甲子園での今季の最多本塁打者は、阪神の選手ではない。6本塁打を放った、DeNAのソトだった。本拠地で62試合も戦った虎の打者たちは、わずか10試合の「ソト弁慶」に負けていた。甲子園では57年に巨人の与那嶺要、中日の岡嶋博治が3本で、阪神の並木輝男、藤本克巳、田宮謙次郎、三宅秀史と並んで最多だった例はあるものの、単独でよそ様に明け渡したのは何とも恥ずかしい。今季の甲子園でのチーム最多は福留、糸井の5本塁打。同じく92年以降ではこちらも最少タイである。

甲子園でのチーム打率は2割3分9厘に終わり、これはセ・リーグ6球団中最低だ。中軸打者も軒並み成績がダウン。主砲と期待されたロサリオは1割9分6厘、本塁打0では解雇も仕方ない。ブレークした糸原も、他球場では3割1分4厘ながら、甲子園では2割5分と元気がなくなった。あまりの貧打に、地元ファンも業を煮やしたのか。甲子園での1試合平均観客動員は、4万1655人で、14年以来4年ぶりに減少へと転じた。甲子園で、打って勝つ。新生矢野阪神に突きつけられた、重い課題である。【記録室・高野勲】