日刊スポーツのオフ企画、毎週土曜日は「出た出たデータマン」です。記録室が今季の阪神をデータで読み解き、来季を展望します。

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先発投手陣の立て直しは、来季への最重要課題のひとつだ。18年虎の勝ち星最多は、メッセンジャーの11勝。これに続いたのは、岩貞と小野の7勝だった。日本人の2桁勝利投手不在は01年以来17年ぶりだが、この年は井川慶と福原忍が各9勝を挙げていた。日本人投手の勝ち頭が7勝だったのは、2リーグ分立後球団ワーストだ。過去最少だった87年仲田幸司、88年中西清起の各8勝を下回った。規定投球回数を満たしたのはメッセンジャーだけで、日本人に限るとゼロ。こちらは07年以来、11年ぶりの事態となった。

年間通して働いた先発投手が不在だった。オールスターまで防御率3・64と踏ん張っていた先発陣は、後半戦には4・94と大幅に悪化した。それどころか終盤戦では、前記の3本柱が壊滅状態に。それぞれのシーズン最終先発まで、阪神は黒星街道を突き進んだ。メッセンジャーが投げた試合でチームは、8月23日中日戦以降7連敗で閉幕。同じく小野先発の試合で阪神は、9月8日巨人戦から5連敗。岩貞の先発戦は、9月19日ヤクルト戦から1分け3敗だった。8月終了時点で阪神は4位につけており、3位とは2・5差。十分にCS進出が可能だったが、ここから最下位へ転落した。主軸投手の不成績が、その要因となったことは間違いない。

頼れるメッセンジャーが外国人枠から外れたとはいえ、来季は38歳となる。オリックスからFAで西勇輝を迎える阪神投手陣。実績十分の右腕に刺激を受け、生え抜き投手の奮起なくして名門再建は望めない。【記録室・高野勲】