日刊スポーツの読者のみなさま、こんにちは。山田です。今回のテーマは「応援」です。

このオフは「メジャー三昧」でした。昨年末から過ごしたハワイでは、地元ローカルテレビ局が毎日、昨季のドジャース戦を放送していた。のんびりと過ごしたつもりですが、結局は野球漬けです(笑い)。

ドジャース戦の全試合をたっぷりと見ました。マエケン(前田健)の好投も、大谷の本塁打シーンも。ドジャースがレッドソックスとのワールドシリーズで史上最長7時間20分の末、サヨナラ勝ちした試合も見応えがありました。

日米の違いを感じたのは、スタンドの応援です。日本の球場では笛、カネ、太鼓、トランペットなどで統制がとられ、一斉にファンが拍子合わせをするというスタイルです。

メジャーの応援に鳴り物はありません。ゲームのなかで、チャンス、ピンチを迎えると、ファンから手拍子、指笛、足踏み…、それが自然発生的に起きるのです。日本とは全く異なる雰囲気に包まれます。

なにも日本のしきたりにケチをつけるつもりはない。「ベースボール」と「野球」の違いといってしまえばそれまでです。でも、日本の応援からは、どうしても“お祭り騒ぎ”のイメージを色濃く感じる。

一方メジャーは、選手のプレーの中身、野球そのものを、真剣に楽しんでいるように映るのです。応援団、指揮者が不在でもスタンドが一体化するのは、野球が「文化」として成り立っているともいえる。

日本は、野球発祥のメジャーから、技術からルールまで、さまざまなことを学んできた。だから、応援の仕方にしても、鳴り物を使わないバックアップを考えていいのかもしれません。

ここ数年、真っ赤に染まるマツダスタジアムがもっとも盛り上がるといわれます。広島の選手は、あの応援に乗っている。逆にファンが選手を乗せているという見方もできる。いわゆる相乗効果です。

一方、阪神の選手は、甲子園の熱狂的な応援に乗れていない。萎縮するというか、プレッシャーになっているようだ。なぜ? 阪神の選手に真の力がないからだろう。

選手にとって、ファンからの声援は心強いものです。味方にもなるし、怖さを感じることも。最近の応援スタイル、ひいてはファンのあるべき姿も、ここにきて一考の余地ありです。(日刊スポーツ評論家)