阪神佐藤輝明内野手(23)がプロ初の1-0決勝弾で自力V消滅の危機を救った。「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦で0-0の9回。引き分けでも自力優勝が消えた崖っぷちで、守護神益田のシンカーをバックスクリーンに運んだ。令和の怪物・佐々木朗が先発し、厳しい戦いが予想された一戦でナインが意地を結集。近隣施設でフィギュアスケート男子の羽生結弦(27=ANA)がアイスショーを行った幕張で、虎のスターもファンを熱狂させた。

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中堅後方にぐんぐん伸びる佐藤輝の打球に、ZOZOマリンの虎党が沸き立った。両軍譲らず0-0で進んだ9回1死走者なし。ロッテの守護神益田にシンカーを軸に追い込まれ、5球目は空振り。それでも頭の中は冷静だった。6球目。ほぼ無風の中、131キロのシンカーをバックスクリーンに力で押し込んだ。

「食らいついた結果です。追い込まれたので、なんとか対応しようと思っていきました」

入った瞬間、ガッツポーズ。ホームベースを踏んでベンチに戻ると、8回まで0封した先発ウィルカーソンと笑顔で抱き合い、喜びを爆発させた。ヤクルトが勝ったため、負けか引き分けかで自力Vが消えた一戦。8試合ぶりの1発はまさに起死回生、プロ初の1-0V弾でチームの連敗も2で止めた。

佐々木朗との“怪物”対決も見応えがあった。昨年同じ5月27日に甲子園で対戦し、タイムリーを放って貫禄を見せた。だが、相手も今季は完全試合を達成するほどに進化していた。第1打席は146キロのフォークに空振り三振。第2打席は二ゴロで、6回の第3打席も空振り三振に倒れた。「もう全然違うピッチャーで。真っすぐ、フォークすごい」。4回には気持ちが空回りしてか二、三塁間で走塁死するミスもあったが、「次はアウトにならないように」と反省し、9回の決勝アーチにつなげた。

矢野監督は「体勢が崩れてたから、まさか入ると思わんかったけど。よくいってくれたね」とびっくり。「ずっとチャンスでアイツに回ってかえせていないのが続いて、その悔しさもあったから」とねぎらった。

千葉・幕張は大盛り上がりだった。ZOZOマリンにほど近い幕張イベントホールでは、羽生結弦が「ファンタジー・オン・アイス2022」で、北京五輪以来約3カ月ぶりの演技でファンを魅了。負けじと阪神の4番も1-0のV弾でファンを熱狂させた。「この1発をきっかけに、どんどん振っていきたいと思います」。自力V消滅など、寂しい話題とは早くおさらばするぞ。【三宅ひとみ】

▼阪神佐藤輝が9回に決勝の本塁打。阪神の1-0アーチは昨年10月3日中日戦のマルテ以来で、交流戦では初めて。9回以降の1発では金本知憲が09年5月12日広島戦で横山から9回にサヨナラ本塁打を打って以来、球団13年ぶり。

▼阪神の最短での自力優勝消滅は28日に伸びた。条件は変わらず、(1)ヤクルト○の場合は阪神●または△。(2)ヤクルト△のとき阪神●。崖っぷちの状況に立たされた26日から2日続けて首位ヤクルトと同じ勝敗で、消滅を免れている。

▼本塁打による阪神の1-0白星は、昨年10月3日の中日戦でマルテが3回に小笠原から放って以来。今年17回目の交流戦では初。阪神で9回以降の1発に限ると、金本が09年5月12日の広島戦で9回に横山からサヨナラ弾を放って以来。

▼佐藤輝の勝利打点は今季4度目で早くも昨季に並んだ。通算8度の勝利打点はすべて本塁打による。阪神が佐藤輝の本塁打で挙げた得点だけを守り切って勝ったのは2年目で初めて。

▼阪神の1-0勝利は今季2度目。5月24日の楽天戦で、6回に大山の適時打を守り切って以来。前日26日の楽天戦では今季6度目の0-1敗戦を喫しており、1-0&0-1試合は51試合で8度目となった。

▼阪神の今季交流戦4試合の総得点はわずか3点だが、2度の1-0勝利が効いて2勝2敗。12球団中3位タイにつけている。

 

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