広島が27日、パドレス傘下3Aエルパソを自由契約となった秋山翔吾外野手(34)の獲得を発表した。今季を含めた3年総額5億円規模の複数年契約を結んだとみられる。球団は戦力としてだけでなく、野球に取り組む姿勢や人間性を高く評価。また現場は1番に加え、3、4番を任せる構想も明かした。近日中にも入団会見が行われ、チーム合流時期が検討される。

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大きな戦力補強に成功した。広島は、秋山獲得に名乗りを上げた3球団の中で最後となる24日に直接交渉。2日後の26日DeNA戦後に返答があった。新横浜駅へ向かうタクシーの車内で、鈴木球団本部長の携帯電話に着信が。「カープにお世話になります」。その言葉に、思わず「マジ?」と声が漏れたという。

「覚えていない。真っ白になってしまった。どういうふうに(タクシーを)降りて、どう改札に入ったのか覚えていない。弁当買い間違えたかな」。喜びとともに、チームが変わる期待が膨らんだ。

選手としてだけでなく、野球に取り組む姿勢や人間性も高く評価した。「若い選手はポジションを争うことになるけど、争って、余裕があれば野球の話もしてほしい。ちょっとしたヒントで殻を抜け出す選手もいるだろう」。秋山加入による相乗効果にも期待する。

迎打撃コーチは打順の構想について「1、3、4(番)かな」と中軸を任せる考えを明かした。4番はプロでは未経験だが幅広く適所を探る。今月中にも入団会見を行い、合流時期を決める。秋山の状態と本人の意思次第では2軍調整はせず、1軍に合流させる可能性もゼロではないようだ。

広島は2位巨人に1ゲーム差、4位阪神には2差の3位にいる。秋山獲得の狙いは今季だけを見た短期的なものではなく、中長期的視野で考えている。「来年以降も見据えて。チームにとってプラスになる」と鈴木球団本部長。捕手に会沢、内野には菊池涼というリーダーがいるように、野手主将の野間や長野とともに外野の新たなリーダーとして期待している。【前原淳】