<阪神0-6ヤクルト>◇15日◇倉敷

 阪神新井貴浩内野手(31)に試練が訪れた。腰痛による不振は深刻で15日ヤクルト戦(倉敷)は8回、1死満塁で三振を喫するなど4打数無安打。完敗を象徴してしまった。岡田監督は「バットが振れていないよな。毎日試合があってはよくならへん」と初めて休養を与える可能性を示した。その新井が4番候補に上っている北京五輪野球の星野仙一代表監督(61)は試合前、新井に「つらいけどやるしかないだろ」とゲキを飛ばした。猛虎の、そして日本の主砲が正念場だ。

 この夜、倉敷マスカットスタジアムが最も沸いた瞬間は、新井にとって、最大のピンチだったのかもしれない。6点を追う8回裏。1死満塁の反撃チャンスで打席が巡ってきた。しかしヤクルト川島亮のフォークやスライダーといった変化球に全くついていけない。腰が砕けたようなスイングの結果、空振り三振を喫した。

 「う~ん、まあまあじゃないですか」。力のない声で、相手投手を評したが、腰の状態を聞かれても、明確な答えは返ってこなかった。この5試合で、20打数1安打。本人は語らずとも、数字が腰痛の深刻さを表していた。

 16日、今季81試合目にして、新井の名前が先発メンバーから消える可能性が極めて大きくなった。岡田監督は新井の回復を信じて、この日もこれまで同様「3番一塁」で起用したが、ついに“決断”を示した。

 「ちょっと新井がなあ。バットが振れていない。毎日ゲームがあるから、良くならん。これ以上、悪くなったら、五輪にまで影響するから。フルイニング(出場)にこだわりはないみたいだ。今日まで様子を見ようと思ったが、あれでは五輪に行かせられない」

 9連戦の初戦が終わったばかりで、まだまだ戦いは続く。試合前にハリ治療するなど、できる限りのケアはしているが、試合に出れば疲労はたまる。状態は一向に上がってこない。指揮官は試合中に新井の意思を確認したという。16日の同カードで休養を与えることが濃厚となった。

 腰痛が悪化すれば、長期の「3番不在」という最悪の事態もあり得る。そして4番として活躍が期待されている星野ジャパンに悪影響をもたらすことは必至だ。「自分からは絶対に(休むとは)言わんやろな」と岡田監督はつぶやいた。ここまで懸命にチームを引っ張ってきた新井がタテジマに移籍して、初めての試練を迎えた。【田口真一郎】