<オールスター:全セ11-6全パ>◇第2戦◇1日◇横浜

 マー君は大丈夫だ-。北京五輪日本代表で大車輪の活躍を期待されている楽天田中将大投手(19)が、オールスター第2戦の6回に中継ぎで登板、1回を無失点に抑えた。7月19日に右肩痛を発症して以来の登板で、速球は152キロをマークし「宝刀」スライダーのキレも戻った。登板後も「(肩は)大丈夫です」と言い切った。星野仙一日本代表監督(61)も「あの腕の振りなら大丈夫」と復活に太鼓判を押した。いよいよ2日から星野ジャパンの合宿が始まる。

 投げたボールに、周囲の不安が消し飛んだ。楽天田中は先頭の和田を投ゴロに抑えると、自然と笑みがこぼれた。「緊張しましたけど、球場の盛り上がりに乗っていけました。ブルペンでは最悪でしたけど、試合の方がよかったです」。1イニング13球のうち、直球はシーズンで投げた中では自己最速タイの152キロを2度マーク。得意のスライダーも申し分なく曲がった。わずか2週間足らずで右肩痛からの完全復活。日本代表では、中継ぎでのフル回転が求められている。果たして大丈夫か-。首脳陣もファンも注目する復帰登板で、十分な投げっぷりを見せた。代表入りを邪魔するものは何もなくなった。

 初めての痛みを成長のきっかけにした。7月19日の登板後に右肩痛を発症し、23日の診察で、3日間のノースローを命じられた。プロ入り初の故障リタイア。苦境の中で原因を取り除くためのフォーム修正に精を出した。この日は故障の原因の1つにもなった体の開きをおさえ、ゆったりとしたフォームから投げ込んだ。「いい球が投げられたと思います。これが崩れないようにしたい」と、つかんだ手応えに顔が引き締まった。

 夢の舞台は19歳にとって成長の場だ。初出場だった昨年のオールスターでは大きな体を小さくしてベンチに座った。「緊張しましたよ。なんかブワーって囲まれて」。当時は高校卒業して半年足らずの18歳。第2戦で先発を務めたが、2回7安打6失点とめった打ち。「去年は散々だったので、なんとか抑えたい」。故障明けでも1イニングをしっかり抑える結果を出すことが、自らの課題だった。

 人見知りの性格だ。第1戦の練習では、言葉を交わしたのはダルビッシュ、武田久など数えるだけだった。それでもメンバーと1試合ベンチで共に過ごしたことで、少しずつうち解けた。「もう慣れた?

 昨年より昨日、昨日より今日ですかね。よくわかんないですけど」と本来の笑顔を取り戻した。一時は辞退の可能性もあったオールスター。本人の強い希望を通したことで、ジャパンの和の中に着実に入っていった。

 2日から袖を通すのはクリムゾンレッドではなく、縦じまの代表ユニホーム。背番号も18から15に変わる。試合後は、早速集合場所である都内のホテルに直行した。「心配かけた分、頑張りたいです」。楽天のマーくんから、日本のマーくんへ。19歳の代表チーム最年少が世界へ羽ばたく準備が、ついに整った。【小松正明】