<西武8-4日本ハム>◇12日◇西武ドーム

 西武がベテランの一振りで優勝マジック点灯に王手をかけた。2点を追う日本ハム戦の8回、代打の江藤智内野手(38)が左越え決勝3号3ランなどで一挙6点を取って逆転し、4連勝を飾った。13日に楽天に勝ち、ソフトバンクがロッテに敗れればVマジックナンバー34が出る。

 江藤の打球が舞い上がった瞬間、西武ベンチはバンザイ姿で総立ちだった。同点の8回1死一、二塁。打った瞬間それと分かる当たりが、独特の放物線を描いて左翼席最上段に飛び込んだ。「手応え十分だった。結果が欲しくてバットを短く持ったりしてたけど、追い込まれて自分のスイングを思い出した」と2度の本塁打王を獲得した大砲がよみがえった。今季3号は、優勝マジック点灯に王手をかける劇的な決勝3ランとなった。

 7回に2点を勝ち越されたが、日本ハムの必勝継投パターンを打ち崩した。1死一塁から佐藤が粘って武田久の8球目を右中間二塁打。石井義も中前同点打で続き、代打江藤の決勝3ランにつなげた。渡辺監督は「みんなの気持ちが江藤に乗り移ったね。五輪組がいなくなって、この期間中負けないぞという雰囲気がある」と興奮気味に話した。

 プロ20年目のベテラン健在を示した江藤は「まだまだやりたい気持ちはありますよ」と、同世代が徐々に減っていく中にも衰えない闘志を強調する。渡辺監督は「あそこで決めるのは江藤が一生懸命やっている証拠。相手に与えるプレッシャーも違うし、若いチームの精神的な柱。いないのは考えられない」と、今季の低打率にもかかわらず起用に応えた江藤をたたえた。若手とベテランがかみ合い、刺激し合う中でさらにチームが強くなっている。

 劇的な4連勝で貯金は今季最多の16となり、今季の日本ハム戦の勝ち越しも決めた。眼下の敵をたたきのめし、13日にもマジック34が点灯する。渡辺監督は「(貯金を)20ぐらいまで伸ばしたいね」とさらに上を見すえた。04年以来のリーグ優勝へ、西武の勢いが止まらなくなってきた。【大塚仁】