<ソフトバンク5-10西武>◇21日◇福岡ヤフードーム

 西武がマジックを2に減らし、4年ぶりの優勝に王手をかけた。中村剛也内野手(25)が9回に満塁弾を放ち、ソフトバンクにとどめを刺した。43号は田淵、秋山に並ぶ西武の日本人球団最多タイ記録になる。8回2失点の岸孝之投手(23)は、1年目の昨年を上回るチームトップ12勝目を挙げた。22日に西武が楽天に勝ち、オリックスがロッテに敗れると、21度目の優勝が決まる。

 4年ぶりの優勝へ、中村がド派手に王手をかけた。博多で鳥料理をたらふく食べ、あとはパワーを爆発させるチャンスを待っていた。回ってくるはずがないと思っていた9回の打席。失策、振り逃げなど相手がミスを連発しての2死満塁。こんなおいしい場面はない。「初球が変化球でボール。真っすぐ1本に絞っていきました」。獲物にしか見えなかった柳瀬の直球を、バックスクリーン左へ運んだ。4点リードを8点差に広げるダメ押し弾で、試合を決めた。オリックスが敗れ、優勝マジックは2まで減った。

 豪快なグランドスラムで43号となった。西武の日本人本塁打記録を持つ、ソフトバンク秋山コーチの目の前で並んだ。「偉大な選手なのでうれしい。(秋山コーチが得意だった)バック宙?

 僕?

 ケガしちゃいますよ」と体重102キロの巨体を揺らして笑った。2位ローズに4本差をつけ「1本1本積み重ねていきたい」と日本人キングへ、さらに決意を新たにした。

 マイペースな中村は、頭ごなしに否定されたり、束縛されることを嫌う。華やかなアーチの影で、三振と失策も1つずつ追加。153三振、19失策はいずれもダントツのリーグワーストだ。しかし今年は、次のために修正は促されても、失敗を責められたことは1度もない。打てないで苦しんでいた時、渡辺監督に言われた何げない言葉が、今も胸に残っている。「たまに打てばいいから」。長所も短所も受け止めてくれる懐の大きさに包まれ、長距離打者としての才能を一気に開花させた。

 渡辺監督が目指す野球も「本塁打を打てる魅力あるチーム」をつくること。勝利と育成という難題を両立させ、胴上げは目前。「明日はみんな気合入るんじゃない。おれ?

 いつもと一緒だよ」とリラックスした表情は変わらない。22日、20勝をかけた楽天エース岩隈と本拠地西武ドームで優勝をかけて戦う。中村は「早く優勝したい。一気に決めたい」。待ちきれないといった様子だった。【柴田猛夫】