<セCS第1ステージ:阪神0-2中日>◇第3戦◇20日◇京セラドーム大阪

 虎に引導!

 待ってろ巨人!

 中日が阪神との接戦を制し、2勝1敗で第1ステージを突破した。0-0の9回、4番ウッズが藤川の150キロを左中間へ決勝2ラン。最後は守護神岩瀬が3者凡退で締めた。22日から舞台を東京ドームに移し、セ・リーグ覇者巨人との第2ステージに臨む。レギュラーシーズンは首位に12ゲーム差の3位に終わったが、2年連続日本一への視界が開けてきた。

 迷いはなかった。ウッズは藤川の直球だけを待っていた。0-0の9回2死三塁、フルカウントからの6球目。「彼はベストピッチャー。最も自信があるボール以外を投げて打たれると悔いが残る男とわかっていた」。150キロの直球にフルスイングで応えた。左中間への135メートルの決勝2ラン。沈黙した球場でベースをゆっくりと一周した。

 ウッズは「打った瞬間、入る感触だった。信じられないようなベストゲームだ。」とまくし立てた。シーズンは得点圏打率2割2分7厘と低迷して、打点77は来日6年目でワースト。終盤には5番に降格した。打てないストレスから、CS前には頭頂部に直径約3センチの丸い脱毛もできていた。関係者は「年俸を6億円(推定)もらっていても悩みはあるんですね」とウッズを気遣っていた。そんな苦悩も不振も吹き飛ばす「球児撃ち」の一発だった。

 1勝1敗で迎えた大一番。落合監督も「これが本当の天王山じゃないか」と評した。先発は山本昌という大方の予想を覆して吉見。ウッズも「山本さんじゃなくてびっくりした。落合サン、クールだぜ」と驚いた。緊迫の投手戦は8回まで0-0、岩田にわずか1安打に抑えられた。CSのルールでは引き分けは2位阪神が第2S進出。「引き分けは負けですから。打てる手は打っていかないと」。守護神藤川がマウンドに立った9回に、指揮官が動いた。

 先頭小池に「代打の切り札」立浪。その立浪が中前打で出塁。指揮官は「あそこしか勝負をかけられなかった。よく応えてくれた」。荒木の犠打、藤川の暴投で1死三塁と追いつめた。続く森野は凡退したが、ウッズが豪快弾で決めた。落合監督は2人の対決に「見応えがあったでしょう。抑えのエースと4番の対決。打つ、打たないは別としてこれが野球の醍醐味(だいごみ)」と賛辞を送った。

 死闘を制して、シーズン6勝17敗1分けの阪神に雪辱した。落合監督は「ある程度このメンバーで(短期決戦を)経験している強みがあった。たまたま我々に勝ち運があった」と話した。22日からリーグ王者巨人との第2Sを迎える。ウッズは「次も苦しいタフなゲームになるだろう。巨人はとても強いが、勝ちたい」。3位からの逆襲を狙うオレ竜が、敵地東京で巨人を撃つ。【益田一弘】