ヤクルトが2010年のドラフト1位候補に、早くも早大・斎藤佑樹投手(2年=早実)をリストアップした。大学日本代表候補強化合宿2日目の29日、松山・坊っちゃんスタジアムで紅白戦を行った。斎藤は1イニング15球すべて直球勝負で3人を抑え、日本のエースの貫録を見せた。

 ヤクルトは小田スカウト部長ら4人態勢で視察した。すでにソフトバンク王前監督がラブコールを送るなど、来年3年生になる斎藤争奪戦は、にわかに活気を帯びてきた。人材豊富な「ハンカチ世代」の目玉として、重複指名は必至の状況。球団関係者は「1位でいかないと取れない選手。うちとしては欲しい」と明かす。ヤクルトは早実3年時にも1位候補に挙げた。本拠地の神宮球場で活躍する6大学のスター獲得に全力を注ぐ構えだ。

 現在、斎藤が付ける背番号「1」は岩村(現レイズ)以降空き番号になっている。さらに日本ハムに移籍した早大出身の藤井が付けた「18」も空く。球団側はこれらの番号は、見合う選手が出るまでは無理に背負わせない方針。2年後、斎藤が入団すれば即“エースナンバー”を準備する可能性は高い。

 斎藤の大学2年間の成長について、小田スカウト部長は「投球がさらにうまくなった。スピードもリーグ戦中は140キロ中盤が出ている」と話す。この日はヤクルト以外にも、各球団20人以上のスカウトが集まった。「4年生になってからでは遅いし、来年から力を入れる必要があるかもしれない」と、スカウト態勢の強化も視野に入れる。

 すでに「日本のエース」として不動の地位を築く斎藤は、30日の紅白戦には登板せず、VIP待遇で合宿を終える。試合後は混乱を避けるために1人車で宿舎に戻った。