日本ハム高橋信二捕手(30)が4日、札幌市内の球団事務所で1回目の契約更改交渉に臨み、今季年俸6600万円から600万円増となる7200万円(推定)の提示を保留した。チームでは今オフの保留第1号で、昨年は全員が一発サインしたことから2年ぶり。「僕の中でうまく結論が出なかった」と語った。

 記者会見の開口一番「残念ながら(サインを)していません。限られた時間内で、僕自身の考えがまとまらなかった」と硬い表情のまま話した。約70分の話し合いだったが、来季契約は次回交渉に持ち越し。「できればイメージを崩さずに」との思いもあり、慎重に言葉を選んだ。

 今季は108試合に出場し、打率2割8分6厘、9本塁打、58打点。死球での戦線離脱は加味されたが10%未満の増額だった。交渉の席で希望額を口にすることはなかったが「気持ちよく判を押すことができなかった」。本職の捕手46試合、一塁でも46試合の先発で兼任したシーズンを考慮すると、金銭面ですぐに納得できなかった。

 来季はドラフト1位の大野奨太捕手(東洋大)が入団予定。交渉の中で、来季の起用法についての話も出たが、島田チーム統轄本部長は「(一塁との併用は)監督が決めること」。高橋は「捕手は特殊なポジションなので、そういったプライドはあるが、選手である以上は試合に出てなんぼなんで」と口にした。

 2回目の交渉は22日に予定されている。厳密な査定評価を基に、ゴネ得を認めない球団のスタンスは変わらないが「いい報告ができるようにしたい」と高橋。昨オフは全選手が一発サインで終わっただけに、信二が呼んだ冬の“珍事”だった。【村上秀明】