中日の新外国人トニ・ブランコ内野手(28=ロッキーズ2A)が14日、北谷球場で行われたシート打撃でど迫力の本塁スライディングを見せた。併殺崩れで出塁し、二塁進塁。沢井の左前打で迷わず三塁を蹴り、本塁に滑り込んだ。すでに落合博満監督(55)から一塁守備に関して合格点をもらっているが、地味な走塁にも意欲的。巨人田畑スコアラーは「ウッズの100倍いい」と絶賛した。

 188センチ、102キロの巨体を揺らし、ブランコが三塁を蹴った。そこからさらに加速し、左足をたたんでホームベースの50センチ右に滑り込んだ。チームメートの捕手小山へのタックルは控え、左手でベースをタッチ。それでもド迫力のスライディングで、二塁から一気に生還した。打撃が注目される助っ人が「足」を見せた。ユニホームは左尻の下あたりが破れ、泥がびっしりこびりついていた。

 「状況に応じて、滑るべきときは滑るよ。ユニホームが破れた?

 ノボル(桂川通訳)に縫ってもらえばいいだろう。いや、自分で縫おうか。全力で走るのはあたりまえのことだ」

 シート打撃では金剛、佐藤亮、山内、赤坂に対し6打数1安打1四球と不本意な内容。それでも右飛で一塁に全力疾走するなど「優等生」ぶりを発揮した。どのプレーにも手を抜かなかった。

 ネット裏から驚きの声があがった。巨人田畑スコアラーは「守備と走塁はウッズの100倍いい」と絶賛。オリックス森スコアラーも「打つことに関してはまだわからないけど、走塁はいい。けっして速くないけど全力を出そうという意識を感じる」と話した。昨年の4番ウッズは、打つのは超一流だが守備と走塁に難があり、不要な失点を許すケースが目立った。代役に期待されるブランコは、走攻守いずれにも全力を尽くすタイプのようだ。

 落合監督はここまで、一塁守備について「うまいじゃん。タイロン(ウッズ)よりうまけりゃうまいんだよ」と話している。つまり「守」と「走」は及第点。あとは本業の打撃だ。この日ブランコはシート打撃終了後、屋内練習場でストレートマシン、カーブマシンを同僚デラロサにアドバイスをもらいながら打ち込んだ。「調子を上げていくだけ」と前向きだった。

 ウッズ、中村紀が抜けた打線で、ポイントゲッターになれるのか。推定年俸30万ドル(約2700万円)の格安助っ人は、ハングリー精神むき出しで落合竜を支える。【村野

 森】

 [2009年2月15日12時1分

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