<阪神6-0巨人>◇4日◇甲子園

 虎がようやく巨人に勝てた!!

 昨年8月30日以来、球団ワーストタイの巨人戦11連敗だった阪神が4日、本拠地甲子園で胸のすくような完封勝ち。「アニキ」こと4番金本知憲外野手(41)が2二塁打&2打点で打線を引っ張れば、3番鳥谷敬内野手(27)、5番新井貴浩内野手(32)も打点をマークし、昨年苦しめられた内海をKOした。先発下柳剛投手(40)が6回無失点で2勝目をマークした。1941年、12連敗を阻止したのは最年長完封記録を持つ若林忠志。「鉄人魂」は68年の時を経ても受け継がれていた。

 金本のバットが、248日ぶりのG倒をもたらした。1点を先制した直後の3回2死二塁。内海の140キロ直球を打った。「グシャ」。ミートポイントを外され、鈍い音が響く。それでもパワーでボールを運んだ。右中間への適時二塁打。右翼手谷がボールをはじく間にすかさず二塁を陥れた。2点リードとなった5回2死三塁では、再び内海の140キロ直球を右翼線に運んだ。2打席連続適時二塁打を皮切りにこの回3得点し、勝利を不動のものとした。

 もう負けるわけにはいかなかった。試合前練習、開幕前から痛みを抱える右足内転筋に自分の拳を何度もたたきつける姿があった。強い決意の表れだった。決して万全ではない状態だが、5回には新井の左前打で本塁まで激走して生還した。そんな無類の勝負強さに、真弓監督は「(走者が)塁にいると返してくれる感じがする」とうなった。

 常に求めるのが、チームの勝利につながる安打だ。快勝にも言葉を発することはなかったが、4月下旬にこう口にしたことがある。「実際に3本も本塁打を打って勝てなかった試合(4月10日巨人戦)があった。極端にいえば、負けたからあの3本の本塁打は意味がない」。4月は2度の1試合3本塁打をマークしたが、チームは波に乗りきれなかった。そのときのも内海が先発だったが、白星はついてこなかった。それだけに勝利に結びついたこの日の二塁打2本こそ、意味がある。

 昨年、逆転優勝を許したライバルにこのまま後れを取るわけにはいかない。昨オフ、12月25日の契約更改では「今までは(巨人が)あれだけ補強して、チキショーという思いがあった。今年(08年)は越智君、山口君、坂本君と若い力と補強がかみ合って、僕らは負けた」と相手のチーム力を認めた。その上で「ジャイアンツに勝ちたいという思いはあります」と宣言している。その決意を自らのバットで示してみせた。

 この日が1501試合連続出場となる鉄人が、ヤング巨人の勢いを押し戻した。ゴールデンウイークで詰めかけたファン4万6434人の前で、ついに負の鎖を断ち切った。就任後、初めて巨人に勝った真弓監督は「うっぷんはまだまだ晴らせていない。まだ連戦があるし、気合を入れて5割以上を目指して頑張りたい。これで流れが変わるというか、変えるよ」と言い切った。まずは借金1を返済。そして逆襲だ。【益田一弘】

 [2009年5月5日9時27分

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