阪神がリストアップしていた韓国代表の4番、金泰均(キム・テギュン)内野手(26=ハンファ)に対して楽天も獲得に動きだすことが7日、分かった。同選手は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でベストナインにも選ばれた大砲。楽天は近日中にも幹部が渡韓し、視察することになった。今オフにFA権を獲得する予定の金は、WBCでの強打で世界に名が知れ渡った。既に渡韓していた阪神は、争奪戦に負けないためにも獲得に本腰を入れる。

 阪神は今オフの獲得を視野に入れて、既に韓国の主砲金泰均に強い関心を持っていた。今年3月に東京ドームで行われたWBC第1ラウンドを球団首脳が視察し、長打力を高く評価。4月中旬には渉外担当者が渡韓し、国内リーグでのプレーもチェックしている。他球団よりも動きは早く、熱意と誠意を示していた。

 球団首脳は「素晴らしい選手だと思う。シーズン中なので、何とも言えないが、オフになれば名前が挙がるのは間違いない」と話す。今オフ補強の目玉としてリスト上位に据えている。日本各球団との争奪戦に発展する可能性は高いが、さらに本腰を入れて調査を継続していく方針だ。

 ここ数年で、韓国を含めたアジア各国の球界とのパイプ作りに励んできた背景もある。昨年6月には沼沢球団本部長が韓国野球委員会(KBO)を表敬訪問。人的交流はもちろん、営業面でも新たな戦略地域ととらえ、力を注いでいる。昨年ドラフト1位で台湾出身の蕭一傑(奈良産大)を指名。2月キャンプ中にはテストを経てジェン(鄭凱文)も獲得した。ともに台湾のWBC代表候補に加わった投手を積極的に補強。関係を強める台湾と同様に韓国市場にも注目している。

 金はチームの編成面においても申し分ない存在だ。本拠地の甲子園は右翼から左翼への強風が吹き左打者には不利。右の長距離砲獲得が悲願だが、今年加入したメンチは本領発揮に至らず、戦力アップにつながっていない。桜井など若手野手の育成に励んでいるが、この状態が続けば、今オフの補強は必須事項だ。人気と実力を合わせもった金は理想のスラッガーとして浮上する。

 阪神は金の他に、同じ右打ちの強打者・李大浩内野手(イ・デホ、26=韓国ロッテ)にも注目。慎重に補強プランを練りながら、最大の補強ポイントを埋める。

 ◆金泰均(キム・テギュン)1982年5月29日、韓国生まれ。天安北一高から01年にハンファ入団。同年に打率3割3分5厘、20本塁打で新人王獲得。05、08年ゴールデングラブ賞。08年31本で本塁打王。今年3月の第2回WBCでは本塁打、打点の2冠でベストナイン。184センチ、100キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4億2000万ウォン(約3289万円)。

 [2009年5月8日10時13分

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