<阪神4-3ロッテ>◇25日◇甲子園

 9回を締めた阪神藤川球児投手(28)は、苦笑いを浮かべていた。4月16日中日戦(甲子園)以来39日ぶり、右ひじを痛めて登録抹消されてからは初となる3セーブ目。だが「それはどうでもいいです」と、心から喜ぶことはできなかった。「しんどいなあ、もう、ねえ。石橋を叩いたつもりの継投だったんだけど…」と、真弓監督も冷や汗をかいたが、1番責任を感じていたのはマウンドの守護神だった。

 1点リードの9回から登板し、簡単に2死を取った。だが同級生久保に贈る初勝利への気合が空転し、「あと1人コール」から歯車が狂った。1番西岡に四球を与えると、福浦はポテンヒット。さらにサブロー四球で満塁。そして4番井口のカウントも2-3まで行った。必勝を確信していたファンはどよめき、嫌な予感も漂った甲子園。だが最後の最後で、守護神が意地を見せた。こん身の152キロの速球で右飛。これも一瞬ヒヤっとする大きな当たりだったが、勝負に勝った。

 「ああいう形になることもあるし、相手もああいう形になることもある」。抑えの難しさを誰よりも知る男は、自分に言い聞かせるように話した。「チームメート(久保)に白星がついて良かった」。守護神のプライドにかけ、次回はピシャリと締めるか。

 [2009年5月26日12時1分

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