<ヤクルト4-0オリックス>◇28日◇神宮

 「館やん」が伝説の400勝左腕「金やん」超えだ。ヤクルト館山昌平投手(28)はオリックス打線を7回無失点に抑え、昨年8月から負けなしの12連勝。前身国鉄時代の金田正一が57~58年に記録した11連勝の球団記録を塗り替えた。偉大な先輩の愛称にちなみ「館やん」と呼ばれると「金田さんに怒られちゃいます。大投手を前に、それはダメです」と苦笑した。

 7回2死一、三塁で、古木をフルカウントから内角高めのカットボールで見逃し三振に仕留めると、こん身のガッツポーズも飛び出した。試合開始前からの豪雨の中、バックの守りにも助けられての白星に「連勝も野手が守ってくれないとできないですから」と、感謝の言葉を繰り返した。

 最下位に終わった07年シーズンが、現在の連勝街道の“出発点”だ。チーム事情から先発、中継ぎ、抑えと全ポジションを経験。勝負どころや後続の投手陣へ良い流れでバトンを渡すことなど、多くを学んだ1年だった。この日は悪条件を苦にしない。光原は自分よりステップ幅が広く、ぬかるみで抑えが利かなかったが「中継ぎで足場が悪い状況でも投げていたし、一昨年の経験が生きました」と、粘り強く投げ抜いた。

 開幕から無傷の6連勝も「自分の場合はチームが負けている試合もあるし、マー君(楽天田中)の連勝とは意味が違う」と話し、ハーラートップ同僚石川に並んでも表情は緩めない。07年は3勝12敗と負け越しただけに、「貯金」でチームへ貢献することが目標と言い切る。クラブハウスには貯金箱を置いてコツコツとためる倹約家「館やん」は、今後も白星をしっかりため込んでいく。【松本俊】

 [2009年5月29日9時2分

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