<阪神5-7巨人>◇29日◇甲子園

 諦めない虎の象徴が桜井広大外野手(26)だ。2回にはタイムリー、8回には自己最多タイの9号ソロと首位を走る巨人に食らいついた。シーソーゲームを演出した末、敗れはしたが、3位ヤクルトも4連敗。クライマックスシリーズ圏内5・5差は変わらなかった。30日勝てば久々の月間勝ち越しも手に入る。桜井の2ケタ弾で、さらなる接近頼みます!

 絶対にあきらめない。虎戦士たちの強い思いが、終盤の1発に凝縮されていた。巨人先発グライシンガー相手の連敗は8にこそ伸びた。ただ、桜井の食らいつく姿勢が「CS進出」という夢への続きを予感させた。

 3点差に突き放された8回。先頭で打席に立った。「何とか出ようと思っていた」。マウンド上は巨人セットアッパーの越智。そのファーストストライク、外角高めの121キロスライダーを無心で振り抜いた。軽々と左翼席まで運び、点差を2に縮める。6試合ぶりの1発は9号ソロ。ブレークした07年のシーズン自己最多本塁打に肩を並べるとともに、ナインの闘志にも再び火をつけた。

 「(グライシンガーは)いいピッチャーなんで、打ち損じをしたら打てない」。積極的な打撃で粘る虎の象徴となった。まずは2点を追う2回1死一、三塁。若虎らしい強引なバッティングを披露する。カウント2-2と追い込まれ、グライシンガーの真ん中高めに外れる直球に反応。体を反らしながら強振し、三遊間を抜いた。「1本つなげば大きく流れが変わると思ったので、思いきっていきました」。見逃せばボール球だったが、3打数3安打だった前日28日巨人戦から4打数連続安打。1点差に迫るタイムリーを放ち、この回の同点劇を呼び込んだ。

 さすがGキラーだ。これで今季の巨人戦成績は打率3割8分3厘。全33打点のうち12打点、全9本塁打のうち4発を宿敵相手に記録している。好調をキープし、7試合連続安打でシーズン打率も3割4厘まで上昇。真弓監督も「これを続けてほしいね」と期待。CS進出に向け、キーマンになりそうな気配すら漂う。

 痛い1敗を喫したが、この日は3位ヤクルトも敗戦。5・5ゲーム差は変わらない。30日勝てば巨人戦4カード連続勝ち越しに、08年7月以来の月間勝ち越しも手に入る。桜井を筆頭に打線の粘り強さは本物。きっと、明日につながるはずだ。「そうですね、はい」。桜井の言葉に力がこもった。

 [2009年8月30日12時0分

 紙面から]ソーシャルブックマーク