<オリックス2-6西武>◇30日◇京セラドーム大阪

 西武は新打線が機能してオリックスを撃破し、連敗を4で止めた。4番に抜てきされた後藤武敏内野手(29)が、チーム51イニングぶりの適時打を放つなど3安打2打点で期待に応えた。人気野球アニメ「タッチ」のヒロイン浅倉南役の声優でウグイス嬢を務めた日高のり子(47)のアナウンスに刺激を受け、不振の打線が13安打で8試合ぶりの大量6得点と目覚めた。雨天中止で試合のなかった3位楽天とのゲーム差を3に縮め、クライマックスシリーズ逆転進出へ巻き返す。

 西武の「タッちゃん」のおかげだ。1点リードの7回無死一塁。4番後藤武のフルスイングで、流れを一気に引き寄せた。右方向に高々と打ち上げた打球は、フェンス直撃の適時二塁打。タイムリー欠乏症に悩んでいたチームにとって、実に51イニングぶりとなる適時打。打線のモヤモヤ感を吹き飛ばし「打順は気にせず、ランナーをかえすのが僕の仕事だったんで」と、高校球児のようなさわやかな笑顔で胸を張った。

 懐かしく、愛くるしい美声に力がわいた。京セラドームで、30代のファンを楽しませる企画満載の「R35ゲーム」が2戦連続で実施され、アニメ「タッチ」の南ちゃんの声がアナウンスで流れた。君付けのエールはオリックスの選手限定だったが、後藤は「うぉっ、南ちゃんだ」と興奮。かつて横浜高で同僚だったレッドソックス松坂らと甲子園で全国制覇したこともある夏男が、萌(も)えて燃えて3安打2打点とハッスルした。

 極度の不振に陥っていた打線も目覚めた。後藤が5回に同点犠飛を放つと、6回には7番で起用されたボカチカが勝ち越しの13号ソロを左中間に運んだ。6月3日以来のアーチに「ヒサシブリダネ!」とノリノリだった。9回には、8番に降格されて2試合目の片岡がダメ押しの2点適時二塁打。試合前、知人に頼んでバットに清めの塩をふりかけた効果が出て「4試合ヒットが出てなかったんで」とようやく笑顔が戻った。

 1イニング2得点以上を記録したのは8試合ぶり。渡辺監督は「最終回の3点は、久しぶりにとれた感じ。つながりが出れば、もっと点はとれてた」と復調のきざしを感じとった。連敗を4でストップし、クライマックスシリーズ圏の3位楽天と3ゲーム差。試合後には久々のハイ“タッチ”で勝利をかみしめた。【柴田猛夫】

 [2009年8月31日9時14分

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