<広島0-2阪神>◇4日◇マツダスタジアム

 トラ退治に失敗だ。3位ヤクルトへの挑戦権をかけた阪神との3連戦初戦、最大のチャンスだった8回2死満塁では、主砲・栗原健太内野手(27)が藤川の速球に空振り三振。能見-藤川のリレーの前に1点も奪えず、今季7度目の完封負け。連勝は4で止まり、阪神とは2差に広がったが、まだまだチャンスはある。今日からきっちり、やり返したる。やるなら今しかねぇ-。

 栗原のバットが、藤川のストレートに空を切る。149キロの剛速球に、最後も空振り。「いいボールでした。分かっていても打てない?

 そうですね」とコイの主砲も脱帽するしかなかった。8回2死満塁。この試合、最大のチャンスだったが、虎の守護神の力に断ち切られた。

 敵地4連勝で盛り上がったムードは、能見に吹き消された。8回途中で降板するまで、8三振を奪われてわずか5安打。1点も取れなかった。8月21日の対戦では5回7得点でKOしていたが、栗原も「前回よりボールが来てました」と、こちらも相手をたたえるしかなかった。

 3位ヤクルトへの挑戦権を争う4位阪神との3連戦。その初戦に今季7度目の完封負け。ブラウン監督は「左投手は(中日の)チェンや川井を打ってきたが、能見が良かった。8回のチャンスに攻略しそこねたね」と努めて冷静に振り返るしかなかった。

 CS進出の機運を盛り上げようと、球団もバックアップに乗り出した。広島カラーである赤地に大きく「やるなら今しかねぇ」と書かれた特製ポスター(B3サイズ)を、5日および6日の阪神戦と、8~10日の敵地神宮球場でのヤクルト戦で配布することを決めた。マツダスタジアムでは来場者全員分(合計6万5000枚)を用意、神宮球場でも1万枚の配布を予定している。

 この企画は9月1日ごろにスタートしたものだが、もともとは9月11~13日に本拠地で行われる巨人戦を想定して準備していた。しかし、直前で中日に3タテをくらわせるなど、にわかにムードが盛り上がってきたことから、この日になって急きょ日程を繰り上げた。球団では「ポスターは5日当日の朝にならないと届かない見込み」と、快進撃にうれしい悲鳴をあげていた。

 初戦には敗れた。だが、チャンスがついえたわけではない。5日の試合で、球団史上初の主催試合での観客動員150万人を突破することも確実。そう「やるなら今しかねぇ」。ファンの思いを乗せて、再び阪神に挑む。【高垣

 誠】

 [2009年9月5日11時59分

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