<ソフトバンク2-1楽天>◇13日◇福岡ヤフードーム

 「9番川崎」が決めた!

 ソフトバンク川崎宗則内野手(28)が歓喜のサヨナラ打だ。左中間のド真ん中に打球が着地した瞬間がお祭り騒ぎの始まり。一塁をまわったところで仲間たちの“袋だたき”にあった。「最高の気分だった」。ヘルメットを奪われ、うずくまりながら、全身で手荒い祝福を受け止めた。

 9回1死満塁、もう腹は決まっていた。立花打撃コーチからは「楽しんでいけ。自分の時間なんだから」と送り出された。「スギさんからパワーをもらおうと思った」。好投の杉内に視線を送ってから、打席へと歩を進めた。「ストライクだったら何でも振ろう」。迷いなどなかった。楽天2番手有銘の初球。スライダーを思い切って振り抜いた。痛烈な打球の行方を見守るまでもなく、誰もが勝利を確信した。

 試合前、打順の一番下に名前を見つけた。秋山監督は「流れを変えたかった」と説明。川崎が9番を打つのは、レギュラーシーズンでは03年6月27日の西武戦以来6年ぶりだった。指揮官から与えられた発奮材料に、結果で応えた。3安打で8月18日以来の猛打賞。5回には二盗を決めて5年ぶりの40盗塁に到達した。

 川崎

 2番でも9番でも、打席には気持ちよく入れた。(9番は)WBCでも経験しているから。

 どんな役割を任されても、全力を尽くす。その姿勢は海の向こうにまで影響を与えている。マリナーズのイチローは、先月末から左ふくらはぎ痛で欠場してベンチから見守った時の心境を「それ(実戦)を想定しながら気持ちを入れていた。川崎選手ばりに」と表現した。3月のWBCでは、控えに甘んじながらもベンチで声を張り上げる背番号52の姿があった。発言を伝え聞いた川崎は「名前を出してくれただけでもうれしい」と照れ笑い。9年連続200本安打の偉業に挑む「師匠」の結果は、いつも試合前にベンチ裏のテレビでチェック。自身の力にも変えている。

 「絶対に優勝します!」。お立ち台で頼もしく誓ったホークスの元気印。6年ぶりのV奪回へ、チェスト(行け)!

 一直線に突き進む。

 [2009年9月14日11時35分

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