<阪神5-2中日>◇25日◇ナゴヤドーム
阪神が3位を死守した。能見篤史投手(30)が7回2失点で11勝目、打っては2安打2打点とワンマンショーを展開した。プロ5年目で中日から初勝利。4位ヤクルトも勝ち、0・5ゲーム差でのクライマックスシリーズ(CS)進出争いは、マッチレースの様相を呈してきた。
右中間に打球がはねる。能見は一塁ベース上で無表情を貫いたが、中日谷繁はあきれていた。投手吉見は現実を信じられないかのように唇をかんだ。「まぐれです」と、投打のヒーローは謙遜(けんそん)したが、「恐怖の9番」のイメージを植え付けた。3点リードの6回2死一、二塁。カウント0-1から内角スライダーを右前へ。貴重な追加点をたたき出した。直前の5回にはプロ初適時打を記録。この日2安打2打点で、今季15勝右腕をマウンドから引きずりおろした。「たまたまですよ。たまには(成果が)出てもらわんと、やっている意味がないですからね」と照れ笑いを浮かべる。
昨季までの通算打撃成績は39打数無安打。今季は登板日以外、毎日のように野手より早く甲子園新室内練習場に現れ、1時間ほどマシン打撃に汗を流す姿が目立った。鳥取城北高時代は通算1本塁打。今季もこの日まで打率0割7分9厘と苦しんだが、大事な1戦でついに努力が実った。
もちろん、本職はマウンド上。今季初対戦の竜打線に対し、1回からエンジン全開だ。「初対戦で向こうも見てきていた。自分の自信あるボールを軸にピッチングしようと。スコアボードに『0』を並べたら何とかなると思って」と言うように、キレのある直球を軸に3回を完全投球。自身も含む打線の援護を受け、7回5安打2失点で11勝目をゲットした。
一時的に中継ぎ降格していた7月中旬のある日、父謙次さん(59)が自宅マンションを訪れた。父から少し言いにくそうに「もっとチェンジアップを使った方がええんちゃうか?」と言われた。「分かった…」と父の気持ちを受け取った。その後から快進撃は始まった。当時3勝7敗だったが、その後の成績は8勝2敗。「小学校のころは打たれて悔しくて、泣きながら投げていたこともあったのに」。父はホッと胸をなで下ろしている。
今や虎の主戦格にまで成長した。この日も好投で3位を死守し、2位中日とのCS第1シリーズに突き進む。【佐井陽介】
[2009年9月26日9時13分
紙面から]ソーシャルブックマーク



