<中日2-8阪神>◇27日◇ナゴヤドーム
ド派手な一発をぶちかました。阪神狩野恵輔捕手(26)は、3点リードの5回1死満塁で山本昌の134キロ直球をフルスイングした。カウント2-1からの4球目を左中間に運ぶ5号満塁弾。自身初の、そして今季チーム初のグランドスラムをたたき込んだ。
「簡単に追い込まれた後だったので、結果を恐れずに思い切っていきました。昨日は逆転負けで悔しい思いをしたし、絶対勝つという気持ちだった。何点でもほしい場面だったので」。
前日26日は5点差をひっくり返される衝撃の敗戦だった。その悪夢をひと振りでぬぐい去り、リードを7点として安全圏に突入。試合前まで得点圏打率1割9分1厘と低迷した男が最高の結果を出した。阪神で捕手の満塁弾は06年6月3日ソフトバンク戦の矢野以来となった。
狩野のグランドスラムは、今季チーム100号の節目弾でもあった。真弓監督は昨秋の就任当初から本塁打の増産を各打者に求めていた。秋季キャンプからロングティー打撃を導入して長打力アップを促した。そして136試合目で2年ぶりに3ケタの大台に到達。真弓阪神の象徴ともいえる成長著しい狩野が決めた。
昨年11月に「新しい監督になってチャンスだけど、そのチャンスを逃せばあとがない」と言った。今春キャンプでは送球難に陥った。実戦で投手に投げ返すボールが定まらず、二塁手や遊撃手が拾うような深刻な場面もあった。居残り練習でボールを投げ続けることだけが修正の道だった。今も矢野が先発マスクをかぶる試合の前は、吉田バッテリーコーチとの特訓を欠かさない。
狩野は、帰りの通路で両目を真っ赤していた。「号泣した」。試合後に行われた中日井上の引退セレモニーに、もらい泣きした。つながりはないが、厳しいプロの世界で20年間生き抜いた先人の最後に心を揺さぶられた。張り詰めた空気で真剣勝負に臨み、ゲームセット後は普段の感受性豊かな性格に戻る。この日も「岩田が本当に頑張ってくれた」と投手への気遣いを忘れなかった。激闘のシーズンも残り8試合。CS出場権をかけた最終局面で、狩野が大仕事をやってのけた。【益田一弘】
[2009年9月28日11時29分
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