真弓阪神が動いた。7時間にも及ぶ異例の「ロングラン会議」で今オフの補強戦略を練った。14日に西宮市のホテルに南信男球団社長(55)ら球団首脳や真弓明信監督(56)、木戸克彦ヘッドコーチ(48)が極秘に集結。編成&スカウト会議の2部構成で、正午から午後7時までぶっ通しで議論を交わし合った。今後の補強策を決める上でも重要なドラフト会議に向けて、真弓監督がプレー映像を逐一チェックするなど、チーム再建の意気込みがうかがえた。

 真弓阪神の要人たちがホテルの一室にこもった。真弓監督、木戸ヘッドコーチの現場トップと南球団社長らフロントが集まり、今オフの補強戦略をテーマに熱い、熱い、白熱の議論が繰り広げられた。正午から始まった会議は、数回の休憩を挟んで、延々と続く。終わったのは、午後7時。すっかり日は沈んでいた。「疲れたね」というスカウト陣の表情はどこか充足感に満ちていた。

 シーズン終了後に行われた異例の「ロングラン会議」。この時期に開催されることは珍しくないが、日中から約7時間も続くのは、かつて例を見ない。多くの関係者がエレベーターに乗って地下駐車場に消えた。極秘裏に話し合われた内容の一部を南社長が明かした。「ドラフトの結果次第で(今後の補強方針も)変わってくる。まずはドラフトありき。ドラフトに関して話し合った」。

 議題はFA、トレード、外国人などの編成部門とドラフトの2部構成だった。13日のオーナー報告で、真弓監督と坂井オーナーの間で、今オフは先発を任せられる投手のFA補強を積極的に行う方向で意見が一致した。何より今後の補強戦略を推し進める上で、大きなターニングポイントとなるのが、今月29日に行われるドラフト会議の成否。それだけに実にきめ細かい部分まで真弓監督の目が光った。

 「監督に今まで映像を見てもらってなかったので見てもらった」と関係者は言う。育成選手の多数指名を打ち出しているが、外れ1位から下位指名に及ぶまで、数十人分のプレー映像を延々と流し、情報交換した。日米を巻き込んだ争奪戦に発展している花巻東(岩手)菊池雄星投手(3年)の1位指名も揺らぐことはなかった。「1位は変わらなかった」(関係者)。あらためて菊池の映像を見直し競合覚悟の猛アタックを決断。16日に予定される菊池サイドとの面談に向けての打ち合わせにも時間を割いた。

 前半に3時間行われた編成会議では、トレード要員の絞り込みや相手チームの余剰戦力について話し合われた模様。外国人はブラゼル、アッチソン、ジェンの3選手を残留させる方向で確認済み。米国や韓国、中南米と幅広くリストアップした新戦力も確認。ウィリアムスに代わる中継ぎ左腕や強打の野手の報告も受け、映像もチェックした。

 いずれにしろ7時間を費やした会議は来季への決意表明とも言える、熱いものだった。逆襲のシーズンに向け、真弓阪神がオフの主役になる勢いだ。

 [2009年10月15日11時46分

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