阪神がマリナーズを退団した城島健司捕手(33)に球団史上最高の4年総額20億円(推定)を用意して獲得に乗り出すことが20日、分かった。南信男球団社長(55)が真弓明信監督(56)や坂井信也オーナー(61=電鉄本社社長)と話し合い、補強の最優先ポイントとして意思統一。背番号2、真弓監督の直接出馬など最大限の誠意で、早ければクライマックスシリーズ(CS)終了後にも交渉に臨むとみられる。

 城島獲得へ、今季は4位に低迷した真弓阪神が真っ先に手を上げた。この日早朝、マ軍から城島退団が発表された。08年4月に結んだ3年総額2400万ドル(約21億6000万円)の契約のうち、残り2年分の約14億4000万円を破棄。家庭の事情などがある場合は、契約破棄できる条項を盛り込んでいた。「難しい決断でしたが、まだ高いレベルで競技できる今が帰国する潮時と感じている。家族と友人の近くでプレーするということが大きな要因だった」とマ軍広報を通じてコメントした。

 今季は3月のWBCで日本の連覇に貢献したが、開幕後は右太もも裏肉離れや左足親指骨折などで71試合の出場にとどまった。マ軍首脳陣が投手によりバッテリーを固定する方針もあり、「体が何ともないのに出られないのはきつい」と漏らすこともあった。また日本に住む家族との時間を大切にしたいと思いからの決断となったようだ。

 城島退団の一報を受けて、フロントはすぐに反応した。南球団社長が「キャッチャーという以上に、クリーンアップを打てる右の強打者ということで、是が非でもほしい」と獲得の意思を表明。真弓監督とも連絡を取り、定例のオーナー報告会でも坂井オーナーと意思統一。同オーナーも「日本を代表するキャッチャー。可能性があるなら、来てほしい」と熱烈ラブコールを送った。

 今季は正捕手の矢野が故障で出遅れ、若手の狩野が代役を務めた。捕手は補強ポイントだった。願ってもない「恋人」の出現に、最大限の誠意をもって交渉に乗り出す。同オーナーは条件提示について「無尽蔵に出すというわけじゃない。ただそれなりの評価をしなければならない選手だ」と語り、金本がFA移籍した際の4年12億円を上回る4年20億円を用意。チームの顔でもある金本の年俸5億5000万円を考慮しながらも匹敵する条件になる。

 プロ入りからの背番号2は、阪神では現在、新人の柴田がつけているが、希望があれば検討する方針だ。さらには同じ九州出身の真弓監督の出馬も依頼する意向だ。

 CSや日本シリーズの盛り上がりに配慮するため、21日から始まるCS第2ステージ終了を待って、交渉に臨む可能性がある。

 退団発表当日とあって、他球団から積極的に獲得に動く声はなかった。阪神の異例とも言える熱烈ラブコールは獲得への自信の表れで、城島サイドにも確実に伝わるはずだ。

 [2009年10月21日9時31分

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