日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が、逆王手をかけた場合の「限定再登板」になることが濃厚になった。梨田昌孝監督(56)は6日、7日の第6戦(札幌ドーム)で登板させないことを明言した。あと1敗でシリーズ敗退が決まるがけっぷちだが、本人の調整を最優先。第7戦まで進めた場合だけ、先発または中継ぎで投入する可能性を示唆した。逆転日本一への最後の刺客として、エースを万全待機させる。

 逆転Vへ必要不可欠な目先の1勝ではなく、その先の大一番を見据えた。梨田監督は練習を完全オフにしたこの日、語気を強めてダルビッシュの起用法を明かした。「明日(7日)はないよ。ベンチにも入れない。だから勝たないとね」。負けたらシリーズ敗退が決まるがけっぷちを、エース抜きで戦う構想を固めた。

 ダルビッシュは1日の第2戦で電撃復帰し、6回、87球を投げ1勝1敗のタイに戻す勝ち星を挙げた。球数は少なく、通常の状態なら中5日の登板間隔で先発してもおかしくない状況。ただ強行登板だっただけに、さらに負荷をかけた場合の危険性を重視。梨田監督は「来年の開幕に影響しても困るしね」と心を鬼にした。

 第2戦は、苦悩している左臀部(でんぶ)痛を押して先発。投球時に踏み出す両足の幅を狭め、負担がかからないようにする立ち投げのような「暫定フォーム」で大役を務めた。その後の調整で大きな問題はなく、5日にはブルペン入り。無理をすれば前回のような投球は可能な見込みだが、第6戦は大事をとって回避。第7戦へ進めた場合に備えることになった。

 ダルビッシュはこの日、チームメートとともに札幌へと移動。「まだ何とも言えないです。やるしかないというか、自分の調整もあるので」と再登板の可能性について、言葉を濁した。梨田監督も「状態はまあまあだろうけれど、張りがまた違うところに出ている」と慎重。第7戦で登板させるとしても、球数制限が必要になるとの考えもあり、先発が濃厚だが、中継ぎ起用も視野に入れている。

 最終第7戦決戦まで、もつれた場合の「限定再登板」が実現するのか。吉井投手コーチは第6戦起用に否定的で「1日おいたからどれだけ投げられるかは分からないけれど、(第7戦先発の)一発にかけたほうがいいんじゃないか」と持論を説いた。今季もう1度、勇姿を見せることになれば、逆転日本一への青写真がくっきりと描かれる。【高山通史】

 [2009年11月7日8時15分

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