安打王が“銭闘”で珍要求!?

 チーム首位打者のソフトバンク長谷川勇也外野手(24)が27日、今オフの契約更改交渉で相手投手への嫌がらせ度をPR材料に決めた。リーグ4位の打率3割1分2厘より、松中に次ぐ57四球とファウルの多さ、フルカウントから4割を超える打率への評価を期待。もちろん交渉では1発サインするつもりだが、打席での粘りが売りの長谷川らしいこだわりだ。

 派手さはなくても長谷川の人物像がにじむアピール材料だった。入団3年目のオフはチーム首位打者として今季年俸1850万円からの大幅アップは確実だ。契約更改交渉では安打数や打率など切り札たっぷりだが、この男のこだわりは別のところにあった。

 長谷川

 ヒットより、四球とファウル、それと球数を投げさせたこと。数字には表れないかもしれませんが、僕の売りですし、評価してほしいですね。

 今季打率3割1分2厘。中でもフルカウントでの打率が4割1分1厘もある。カウント別では3番目に高い数字で、57四球のうち22個も稼いだ。打席で追い込まれるほど高い集中力でファウルで粘りチームに貢献した。交渉の席ではいかに相手投手を嫌がらせたかをPR。「なかなか数字に出せないと思います」と本人は査定ポイントへの反映をあきらめるが、球団関係者は「1打席ごとの評価としてはある」とし、プラス材料になるのは間違いない。

 8月22日の日本ハム戦が象徴的だ。1点を追う6回裏の2死二、三塁。長谷川は2番手江尻の2-2からボールゾーンに落ちるスライダーを見極め、続く低めスライダーをカット。そして7球目に甘く入った直球を仕留めて、2点中前適時打。「しぶとく粘る、自分の持ち味を出せた」と胸を張ったが、同様のシーンは何度も繰り返された。

 中堅のレギュラーをつかみ、開幕戦以外の143試合できたのは、手元まで球を引きつけてさばく技術と判断力を身に着けたからこそ。「自分のタイミングで打って、こうすればあそこに飛ぶという感覚を大事にした。ヒットという結果にこわだらなかった」。東北の秋田出身らしく、同じ練習メニューでも飽きずにコツコツとこなし、自分だけの「間」を築き、信じた先に今季の成績があった。

 更改でも粘りの交渉をするのかの質問には「出されたものに判を押します」とあっさり否定した。来季に向けても足元を見つめ、大言荘厳はない。「数字の目標もないし(外野の定位置を争う)他の人も意識せず、自分のスタイルに自信を持ってやりたい」。控えめな姿勢は自信の裏返しでもある。この日は福岡市内の焼き肉店で開かれた外野手会に出席し、極上の肉を堪能。1年をねぎらい、英気を養う、もう1つ楽しみな交渉の席は12月16日と、球団から発表された。

 [2009年11月28日11時34分

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