虎の穴が誕生する。阪神は28日、来年1月1日付の人事異動として、球団本部に「育成部」を新設することを発表した。育成部長には、新たに取締役に就任した高野栄一氏(46)が就任。本格的なファーム強化、若手選手の育成に乗り出すことになった。

 育成部門のテコ入れは、今オフの課題としてフロント内で話し合われてきた。その理由として、全体で10人と増員した育成選手の徹底指導のほか、ライバル巨人が育成枠から山口、松本といった主力選手を輩出したことが背景にあり、将来的な「3軍構想」を描く球団が即座に新設した。

 南球団社長は「ファームは育成重視。来年、再来年と(育成を)続けていくためのスタートだと思っています」と説明。生え抜き選手の輩出を目標に、来季は立石充男2軍守備走塁コーチが育成チーフコーチに就任。遠山、町田両コーチが育成担当を務める。

 これまでの阪神は、若手選手の育成を現場に一任してきたが、育成部を新設した今後は球団フロントが主導となって底上げを図ることも確認済み。スカウト陣の意見と平田2軍監督を含めた現場の声をすり合わせながら、選手の適性を見抜くことになる。高野氏は「今まで以上に(スカウト陣と現場の)話し合いを密にし、起用面にも(育成部として)触れていく」と説明。南社長も「フロント主導を強めて、ファームを強化していく」と、フロント力でもチーム改革に取り組む。

 [2009年12月29日11時38分

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