フィギュア組に負けへんで!

 阪神岩田稔投手(26)が29日、兵庫・西宮市内の野球トレーニング施設「B-CON

 PARKスタジアム」で10年に向けての自主トレを本格的に開始した。シーズン終了後はノースロー調整を続けてきたがこの日、約40球のキャッチボール。母校関大の後輩で男子フィギュアスケートのバンクーバー五輪代表が決まった高橋大輔(23=関大大学院)織田信成(22=関大)に刺激を受け、冬季五輪フィーバーに負けない来季の活躍を誓った。

 寒さで紅潮していた岩田の顔から、さらに熱気がほとばしる。2010年に向け、西宮市内のトレーニング施設で本格始動。3時間のメニューで体をいじめ抜き、クタクタになりながらも目はギラついたままだった。パワーをくれたのは母校・関大の後輩。フィギュアスケート日本代表、高橋と織田がバンクーバー五輪出場を決めた。「うれしいけど、2人に負けたくはない。僕も頑張らないと」。先輩が意地の決意表明だ。

 3日前の26日、高橋がフィギュア全日本選手権に優勝し、五輪切符を手にした。今月上旬にはすでに織田がバンクーバー行きを決め、関大ダブル出場という快挙を成し遂げた。岩田は2年前、関大で行われた2人の激励会に、花束を持って駆けつけたことがある。その際に会話を交わし、その後も織田から電話を受けたこともある。2人とも他人とは言えない存在。動向を気にかけてきただけに、氷上での活躍に強い刺激を受けた。

 関大出身者として、後輩たちの偉業は心から喜んだ。ただ、同じアスリートとしては祝福だけで終われない。2月に始まる冬季五輪では女子フィギュアの浅田真央(19=中京大)安藤美姫(22=トヨタ自動車)をはじめ日本フィギュア勢の奮闘に国内の応援熱が高まるはず。「冬は2人のシーズンなんで…」と岩田も言うが、3月から残りのシーズンは野球で盛り上げる。寅(とら)年Vで、10年の主役は渡さない覚悟だ。

 そのためにも準備は怠らない。この日、07年オフから年末年始の自主トレ拠点とする野球施設でのトレーニングを開始。地道な下半身強化で汗を流し20メートル前後の距離で約40球のキャッチボールも行った。シーズン終了後は疲労回復のためノースロー調整を続けていたが、今月上旬に甲子園新室内練習場でキャッチボールを再開。すでに肩作りをスタートさせており着実にトレーニングレベルを上げている。

 今後は3年連続の元旦始動を経て、鹿児島県内でソフトバンク杉内らとの合同自主トレをスタートさせる予定。バンクーバー・フィーバーの間に、1年間フルで戦い抜く肉体を作り上げる。

 [2009年12月30日10時40分

 紙面から]ソーシャルブックマーク