金本、藤川が自費キャンプ!?

 阪神沼沢正二球団本部長が5日に西宮市の球団事務所で取材に応じ、金本知憲外野手(41)藤川球児投手(29)ら契約未更改5選手との交渉が長期戦に突入する可能性を示唆した。Bクラス転落によるダウン査定や球団の補強戦略に対する疑問などで下交渉が難航。「条件の合意は1月下旬までかかるかもしれない」と見通しを語った。状況次第では、複数の主力選手が自費キャンプに突入する異例の事態に発展する恐れも出てきた。

 思わぬ所で浮上した阪神の「契約問題」は、年が明けて一件落着とはいかないようだ。金本、藤川、鳥谷、下柳、久保の主力5選手が契約未更改のまま、年を越した。交渉役の沼沢球団本部長の口ぶりは、この日行われた年賀式でも歯切れが悪かった。「いろいろトレーニングの予定もあるだろうし、合意は(1月)下旬までかかるかもしれない」と長期戦を視野に入れていることを明かした。

 問題解決まで大きなテーマは2つある。5年ぶりにBクラスに転落し、多くの選手が年俸のダウン提示を受けた。それはチームの顔と言える金本や藤川も例外ではなかった。さらに赤星や今岡らチームの功労者が相次いで、チームを去った。代わりに、城島ら新戦力が加入するが、急速な血の入れ替えに疑問を呈する声もある。実際に藤川は「残ったプレーヤーにも気持ちがあるから大事にしてほしい」と心境を語った。チーム運営に納得するまで交渉を続けたいという主力選手の考えがあるのは事実だ。

 球団側も中途半端なまま問題を終わらせる気はない。条件面に関して、沼沢球団本部長は「選手もそうだろうが、こちらも妥協することはない」と強い姿勢で臨む決意を持っている。球団の方針を理解してもらう作業にも時間を費やす覚悟はある。南球団社長は「チームも営業も総務も各部署で、顔をつきあわせて議論することが大事」と“対話路線”を重視することを表明。自ら契約更改の場に出る可能性もあるが、「キャンプでキーマンとなる選手と話をしたい」と沖縄での会談設定に意欲を燃やした。

 状況次第では、複数の主力選手が自費キャンプに突入する異例の事態に発展する可能性もある。フロント、現場の結束まで時間が必要。V奪還の道のりは容易ではないが、妥協しない精神の表れでもある。

 [2010年1月6日11時20分

 紙面から]ソーシャルブックマーク