<ヤクルト5-2中日>◇30日◇神宮

 ヤクルトの一番星だ。ドラフト1位左腕の中沢雅人投手(25=トヨタ自動車)がルーキー白星一番乗りを果たした。重圧のかかる本拠地開幕戦となった中日1回戦(神宮)に先発し、5回1/3を2失点に抑えた。ヤクルトでの初登板初勝利は02年石川雅規以来8年ぶりで、10人目となる。巨人の強力打線を封じ込めた20歳の由規、22歳の村中に続くヤングスワローの力投で、チームは3連勝となった。

 プロのマウンドにデビューした中沢が、そのままお立ち台のデビューも飾ってみせた。本拠地開幕戦での先発で、5回1/3を2失点。初登板を初白星で飾ったのはエースの石川以来、球団史上10人目となり「素晴らしい先輩と同じ初登板初白星でよかったです。ウイニングボール?

 両親にあげます」と振り返った。

 初の大舞台でも、先発投手としての本能は忘れない。初回2死一塁、ブランコに2ランを浴びた。「これがプロなのかって、少し動揺しました。でも、ズルズルいったら先発としてよくない。あそこで気持ちを切り替えられたのが、一番よかったです」と話すように、2回からは無得点。味方打線の援護もあり、勝ち投手の権利を得る5回は、3者連続で打ち取った。

 持ち前の度胸は、本番の舞台で発揮された。捕手の相川は「オープン戦の時より、カーブでストライクが取れた。コースを間違わないし、初先発で大したものですよ」と驚いた。110キロ前後のカーブがストライクゾーンに決まり、お世辞にも速いとはいえない最速139キロの直球の威力は増した。

 キャンプ中、宮本から「小さく鋭く曲がる変化球を覚えなければプロでは厳しいぞ」とアドバイスを受け、キャンプ中にカットボールを取得。120キロ台後半のチェンジアップと同じ球速で、曲がり方が正反対の新球カットボールが両コーナーに決まった。宮本は「まだ投げてないドラフト1位で入ってきた投手に、失礼なことを言ってしまったかな、と思ったんだけど、一生懸命に練習していたみたい。向上心があるし、そういう選手は伸びると思いますよ」と話した。

 最後は6回途中の降板となっただけに「スタミナ切れ?

 それは大丈夫でしたけど、いい打者なので力んでしまった。中継ぎの人に迷惑をかけたし、今度はもっとしっかり投げたいです」。浮かれることなく、しっかり反省を忘れないのも向上心があるから。プロとしての第1歩を、力強く踏み出した。【小島信行】

 [2010年3月31日9時14分

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