<日本ハム8-4楽天>◇8日◇札幌ドーム

 日本ハムの新外国人ボビー・ケッペル投手(27)が、メモリアル勝利でチームの連敗を止めた。楽天戦(札幌ドーム)に先発し、6回5安打4失点で来日初勝利を挙げた。連敗を3で止める好投は、04年の北海道移転後、本拠地札幌ドームで通算200勝となる節目の勝利。初登板の3月22日ソフトバンク戦では左脇腹痛で1回で降板し離脱したが、頼もしい存在として戻ってきた。打線も11安打を放ち楽天投手陣を打ち崩した。

 196センチの大柄な体には、冷静さとチームを最優先する心意気が詰まっていた。ケッペルが、140キロ台後半の直球にツーシームなどを織り交ぜ、低めを丁寧に突いた。6回に山崎武に2点本塁打を浴びたが5安打4失点。18個のアウト中、半数の9個が内野ゴロと持ち味を発揮した。初勝利の権利を得て、2番手宮西にバトンを渡した。

 1、2回と3者凡退で抑えた後、3回にリンデンへ死球、嶋への四球をきっかけに同点に追いつかれた。「リズムが少し悪くなったときもあったけど、まずはチームが勝てて良かった」。4回は2死から連続安打されたが、嶋を一ゴロに抑え持ち直した。鶴岡は「うまい具合に球も動いていた。次回の登板ではもっといいケッペルを引き出せると思う」と評価。梨田監督も「非常に不安があったけど、すんなり入ってくれた。点数は取られたけど安定していた」と、粘投した右腕をたたえた。

 来日後、日本の野球を知ろうと努力してきた。春季キャンプイン早々の2月3日、日本の配球や球種を学ぶため、ダルビッシュが投げた昨年のソフトバンク戦と西武戦のビデオを約1時間見て研究した。ブルペンには何度も足を運び投球を観察した。「成績を見てもダルビッシュは日本一の投手。チームにサイ・ヤング賞の投手がいて学びたいと思うのと同じだよ」と、同じ長身という点も考え、投球術を吸収しようと努めた。

 日本とは縁を感じている。10歳のクリスマスプレゼントに、叔父から現ソフトバンク王貞治球団会長の自叙伝をもらった。来日してから思い出し、活躍を期していた。左脇腹に違和感を感じたソフトバンク戦は、わずか17球での降板だった。「一番大事なのはこれから。1勝したというよりもチームが勝てて良かった。明日から波に乗れると思う」と、フォア・ザ・チーム、日本的な自己犠牲の精神がある。記念の1勝にも浮かれず、チームへ勢いをつける白星を喜んだ。【石井克】

 [2010年4月9日11時21分

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