<阪神5-8中日>◇25日◇甲子園
あと1発出ればなぁ…。一方的な展開だった7回、鳥谷敬内野手(28)が意地の1発を放った。中日の左腕高橋から、自身初の甲子園グランドスラム。一時は0-8の完敗ムードも、これで一気に3点差。さあ、巨人相手に6点差逆転した猛虎打線なら、ひょっとするでーとファンに期待を抱かせた。中日戦3連勝こそ逃したが、今年の虎はタダでは終わらない。あす27日ヤクルト戦(神宮)からは9連戦。黄金週間はガッポリ貯金してや~。
春に似合わない寒風が空を舞う。絶望的な展開。今季最多の観客数4万6467人の中には、ゲームセットを前に席を立とうとした虎党もいたはずだ。聖地に漂う重苦しいムード。それでも、今季の猛虎はタダでは終わらない。
4回表を終えて0-8。完敗かと思われたが、ラッキーセブンをモノにした。7点を追う7回だ。2四球と1失策で2死満塁。中日ベンチに漂う楽観ムードを、3番鳥谷が一瞬で消し去った。マウンド上には左腕高橋。カウント1-0。「後ろにつなぐことだけを考えた」。いつも通りバットを短く持ち、外角145キロ直球を逆らわずに強振した。打球は右翼から左翼に強く吹く浜風に乗り、黄色いメガホンが揺れる左翼席に着弾。「風のおかげです」。08年9月17日中日戦(ナゴヤドーム)で放って以来、自身2本目、甲子園では初のグランドスラムが、2010年のあきらめない虎を象徴した。
今季、鳥谷はバットを指2本分ほど余して握る。打撃練習中は目いっぱいの長さで握るが、試合になると余りをつくる。
鳥谷
試合では基本的に同じ長さで握っています。バランスとかをいろいろ考えて、この形になった。追い込まれたり、自分の状態次第ではもっと短く持つ時もある。
「長くバットを持つからホームランを打てる訳でもないから」と説明するが、“次につなぐ”意識の強さは握り方にも表れている。
この日は“つなぐ”打撃を意識し、今季3号となる満塁弾。7点差を一気に3点差まで縮め「完敗」を「競り負け」に変えた。4月2日からの中日3連戦は3連敗。リベンジに燃えて迎えた今回は3連勝とはならなかったが、竜投に恐怖感を植え付けたのは間違いない。
首位巨人を3・5ゲーム差で追う状況で、27日ヤクルト戦(神宮)から巨人、中日と9連戦を戦う。この日の驚異的な追い上げに虎党は次への期待を持つ。「次につながるかどうかは、次の試合が来てみないと分からない。とにかく(9連戦の)初戦を取らないといけない」。鳥谷はナインの思いを代弁し、引き締まった表情のままロッカールームへ引き揚げた。【佐井陽介】
[2010年4月26日11時9分
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