<中日1-3巨人>◇29日◇ナゴヤドーム

 先輩が快速球で敵の主砲を切るのを見て、巨人東野峻投手(23)はベンチで雄たけびを上げた。「越智さんなんで三振を取ってくれると思っていました」と声を弾ませた。2-0の8回2死から連打で二、三塁のピンチを招き、越智大祐投手(26)に後を託した。その越智が、中日ブランコをインハイ150キロで空振り三振。自己最多139球の熱投に、応えてくれた。

 粘って、粘って、尻上がりの投球を見せた。序盤は不安定だったが、点だけは与えなかった。1回、いきなり1死二、三塁を招いたが、ブランコを空振り三振。内角を果敢に攻め、外のスライダーで仕留めた。2回、3回も走者を背負ったが、無失点で切り抜けた。「慌てなかったです。とにかく腕を振ろうと」と、4回から7回まで3者凡退の連続。変化球を低めに制御し、持ち味の力強い直球とのコンビが生きた。バットでも貢献した。1点リードの4回、二塁打で出塁し貴重な2点目を踏んだ。

 “公約”実現へ、人事を尽くした。4月は5戦5勝。ハーラー単独トップに立ち、広島前田健らとともに、目標の月間MVP有力候補となった。「待つだけです」と満足そうに笑ったが、もう1つの目標はもっと高い。「内海さんと2人で30勝したい」。この日は、内海の誕生日だった。昨年7月、遠征先でサプライズの誕生日パーティーを開いてくれた先輩は、故障で離脱中。励ましの白星を贈った。

 東野の右腕で再び貯金10。原監督も「本人も我々も望んでいるところは高いが、階段を1歩ずつ上がっている」と認めた。東野は「次は完投したい」と力強く言った。志高く、もうひと皮もふた皮もむけてみせる。【古川真弥】

 [2010年4月30日9時25分

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