<巨人5-2ソフトバンク>◇27日◇東京ドーム

 ソフトバンク川崎宗則内野手(28)が27日、「メジャー志向」を初めて公表した。プロ11年目で国内全球団との交渉が可能になる国内フリーエージェント(FA)権を取得し、巨人2回戦(東京ドーム)の試合後に報道陣に対応した。大リーグ挑戦について「可能性は持っている。いろんなことに挑戦したい」と希望を持っていることを明言。球団側は王会長の直接出馬も含めて、シーズン中から残留交渉に乗り出す方針を示した。

 敗戦直後とあって下がりがちだった川崎のトーンが、メジャー挑戦を巡る質問のときだけ上がった。「国内FAを封印すれば来年メジャー挑戦できる権利に到達するが」との質問に、はっきりと答えた。

 川崎

 可能性は持っている。1回しかない人生なんで。いろんなことに挑戦したい。

 これまでFA権を巡る発言は「取得してから考える」と話すにとどまってきた。今年1月の自主トレで国内FAについて「可能性はあります」とコメントしたのが異例のケース。大リーグ挑戦の意思を公表するのは、今回が初めてだった。

 移籍を前提とした発言ではないが、もともと、メジャー志向は強かった。06年WBC日本代表でチームメートとなったのをきっかけに、今年1月まで4年連続して合同自主トレを行うほどマリナーズ・イチローに心酔している。試合に向けた準備に対する姿勢、遠投で全身を鍛え上げる練習方法、打撃理論など数々のものを吸収してきた。さらに、守備でもメジャー選手のグラブさばきを参考にするケースがあり、あこがれが現実感まで高まっても不思議ではなかった。

 国内FA権取得の節目に公表したのも、思いの深さをのぞかせる。海外挑戦の流れを打ち出せば、球団側にとって今オフは国内他球団への流出が避けられる。ただ一方で、残留交渉を成功に導くケースが少ないのは過去の例が物語っている。ホークスでは04年オフに現ロッテ井口が自由契約となりホワイトソックスに移籍。05年オフには現阪神の城島がFAで海を渡った。

 川崎は「FAを取れるようになれるとは思っていなかった。最初は。感謝しています。ファンと支えてくれた人に」と語った。99年度ドラフト4位でダイエーに入団し、4年目の03年にレギュラー定着。2軍時代はハードな練習に苦しみ、主力選手となっても08年に左足疲労骨折するなど故障に悩まされ、プロ11年目で区切りの日に到達した。決して順風とは言えない日々を乗り越えてきた川崎が、新たな挑戦に乗り出す可能性がある。

 [2010年5月28日10時52分

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