<日本ハム2-3阪神>◇30日◇札幌ドーム

 アニキこそ12球団最強DHや!

 甲子園で2連敗した日本ハムをペロリと頂いた。主役は4番金金本知憲外野手(42)。決勝犠飛こそ5番新井に譲ったが、今季初となる猛打賞。和田打撃コーチも「今が一番いい状態」と太鼓判を押す上昇ぶりで2連勝を決めた。5月は11勝11敗で5割で乗り切った。次のカードもDH制のある敵地、楽天戦。さあ6月から乗っていきまっせ!

 「12球団最強のDH」が勝利を呼んだ。4番金本が打線の中心で機能し、今季の交流戦で連敗のなかった日本ハムを相手に連勝フィニッシュ。前回本拠で2連敗だった借りを北の大地できっちり返した。

 2-2でもつれ込んだ延長11回無死一、二塁だった。1ストライクからの2球目。高めに浮いた直球を、強烈なライナーで右翼線へ運んだ。誰もが勝ち越しシーンを思い描いたが、一塁手の真横を打球が通過したため、二塁走者の大和がスタートを切れず。三塁でストップ。無死満塁でおいしいところを持って行ったのが弟分の5番新井だった。

 「とにかく何とかしようと。もう、食らいついた感じです」。新井は打席に向かう途中、一塁塁上で悔しそうに苦笑いを浮かべている金本の姿が目に入った。アニキの一打を無駄にするわけにはいかない-。ヒーローになり損ねた金本の思いもバットに乗せ、決勝中犠飛を打ち上げた。

 「何とか(仕事ができた)ね。よかった」。試合後、安堵(あんど)した表情を浮かべた新井。その一打は、カウント2-1と追い込まれながらも、外角低めの変化球に必死で食らいつき、最後は左手だけですくうという執念で打った一本だった。アニキのおぜん立てに、弟分がしっかりと結果で応えた。

 緊迫した投手戦を動かしたのも金本のバットだった。4回の第2打席。無死一塁で日本ハム先発武田勝から、あと数十センチで本塁打という右翼フェンス最上部直撃のシングル安打。和田打撃コーチが「シーズンに入って、今が一番いい状態。らしさというか、どっしり座っているし、打撃の内容がいい」と褒めちぎる一打で、先制点を呼び込んだ。

 1打席目にもチーム初安打となる中前打を記録。これで指名打者として出場する今交流戦は6試合で打率4割9厘(22打数9安打)と、全試合で安打継続中。猛打賞も今季初だ。

 連続フルイニング出場記録とともに、98年7月からオンシーズン(4~9月)で続けてきた毎月本塁打は「70カ月」で止まったが、打撃の調子自体は悪くない。「フォームも崩れてないし、いろんな球に対応できてる。中心がしっかりすれば(打線も)活発になってくる」と和田コーチ。この勢いのまま、楽天が待ち受ける仙台に乗り込む。

 [2010年5月31日11時12分

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